事務職の年収事情:年代・種類別に見る最新データ

1. 事務職全体の平均年収:概要

事務職の平均年収とは?

事務職の平均年収は、多くのデータが示すように全体的に控えめな傾向があります。dodaの2023年版年収データによると、事務/アシスタント系の全体平均年収は343万円で、全職種の平均年収414万円と比較するとやや低めです。一方、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」では事務従事者の平均年収は449万3,200円となっており、統計によって金額に差異があります。

男女別の収入差

事務職は女性からの人気が高い職種ですが、男女間での収入差が大きい点が特徴です。2023年版dodaのデータでは、男性の事務職平均年収が406万円であるのに対し、女性の平均年収は327万円と、その差は79万円となっています。また、厚生労働省の調査では、男性が543万2,000円、女性が382万8,800円と、約160万円もの差があることがわかります。この差は、出産や育児が女性のキャリア形成や昇進に影響を及ぼしていることが背景にあると考えられます。

正社員・非正社員の違い

事務職の年収は、雇用形態によっても大きな影響を受けます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では正社員の平均年収が約466万円であるのに対し、正社員以外の場合は約303万円と、約160万円の差があります。正社員は、賞与や福利厚生が手厚い一方で、非正社員はこれらの恩恵が限られていることが主な要因とされています。このため、安定した雇用や収入を得るためには正社員としての雇用形態を目指すことが重要です。

業界ごとの差異と特徴

事務職の年収は業界によっても異なります。例えば、貿易事務は平均年収385万円、営業事務と一般事務がそれぞれ337万円、医療事務は平均年収286万円というデータがdodaから提供されています。また、同じ事務職であっても、働く業界が製造業やIT企業などの場合には、専門性や地域差が加わり給与に違いが生じることがあります。平均年収が高い業界に目を向けることで、効率的なキャリア形成が期待できます。

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2. 年代別の事務職年収の推移

20代~30代の平均年収

事務職の平均年収は年代によって異なります。20代では平均年収が約313万円と、全職種の平均年収352万円と比べるとやや低めの傾向にあります。ただし、女性の平均年収は20代後半で約329万円と男性の377万円と比べてもさほど大きな差はありません。これは、若い年代では年功序列がそこまで影響しないためと考えられます。

30代に入ると事務職の平均年収は354万円に上がり、昇給の傾向が見られます。しかし、全体の平均年収が447万円であることから、職種による年収の差が広がる傾向もあります。特に、男女別では男性494万円に対して女性383万円という状況であり、依然として男女差は顕著です。女性から人気の高い事務職ですが、育児や出産の影響で昇給スピードが遅れることが影響していると見られます。

40代以降における年収の傾向

40代になると事務職全体の平均年収は約377万円に達します。この年代では経験やスキルの蓄積が給与に反映されやすくなり、特に昇進や管理的なポジションに就くことで、収入が増える可能性があります。しかしながら、女性の昇進の機会が男性と比べて限られているという現実もあり、年収面での格差が続いていることが課題です。

また、事務職は残業が比較的少ないという特徴があるため、仕事とプライベートのバランスを重視する方にとっては魅力的な職種です。その一方で、残業代や特別手当が少ないことから、年収の大幅な伸びが見えにくいという現状もあります。

年代別で見る男女差

事務職における男女別の年収差はどの年代でも確認されています。20代では女性の平均年収が男性よりもやや低く、30代以降になるとその差はさらに拡大する傾向にあります。これは、女性が家庭や育児を優先するため、非正社員として働く割合が増えることや、昇進のチャンスに制限があることが一因とされています。

例えば、正社員の事務職の平均年収は466万円である一方で、非正社員では303万円と大幅に低下します。特に女性が多く従事する事務職においては、この雇用形態による年収の差が大きな課題となっています。これを克服するためには、正社員として長く働きキャリアアップを目指すことが重要です。

キャリアアップによる年収アップ事例

事務職において年収をアップさせる方法としては、スキル習得や資格取得が挙げられます。特に、経理や貿易事務など専門性の高い分野にキャリアチェンジすることで、大幅な年収アップが見込めます。例えば、経理の平均年収は432万円に達し、一般事務や営業事務と比較すると高い傾向にあります。また、貿易事務では385万円と、専門知識が求められる分、収入が高めに設定されています。

さらに、Excelや簿記といった具体的なスキルを習得することで、正社員としての信頼性を高めたり、大手企業への転職を実現したりすることも可能です。その結果、年収の向上はもちろん、キャリア全体を充実させることにもつながります。

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3. 事務職の種類別年収比較

一般事務と営業事務の違い

一般事務と営業事務は、どちらも事務職の代表的な役割として知られていますが、その仕事内容には明確な違いがあります。一般事務は、書類作成やデータ入力、スケジュール管理など、主に事務所内でのサポート業務に特化した業務を行います。一方で、営業事務は、営業部門の支援を主な目的にしており、受発注処理や取引先とのやり取り、資料作成など、営業活動を補助する点に特徴があります。

年収面では、dodaの調査によると、一般事務の平均年収は337万円、営業事務も同じく337万円とされています。ただし、男性の年収を見ると、一般事務が395万円、営業事務が388万円であり、それぞれ女性より高い傾向が見られます。それに対し、女性の平均年収は一般事務が319万円、営業事務が329万円となっています。この年収差は、営業事務の方が取引先との対応力や業務範囲の広さが影響していると考えられます。

経理・会計事務の年収

経理や会計事務は、会社の金銭管理を行う重要な職種です。業務内容には、月次決算、年次決算の作成や、支出管理、税務処理などが含まれ、経営の基盤を支える役割を果たしています。このような専門性の高いスキルが求められるため、事務職の中でも比較的高めの年収が期待できます。

dodaの調査では、経理・会計事務の平均年収は全体で432万円とされています。男女別では男性が527万円、女性が385万円と、他の事務職と同様に男女間での年収差が見られます。また、資格を保有している場合や、経験年数が長い場合はさらに高収入を目指せる可能性があります。

貿易事務や専門職系の事務職

貿易事務や法務、特許事務など、専門的な知識や対応力が求められる事務職は、年収が特に高くなる傾向にあります。貿易事務の業務内容は、輸出入に関する書類作成や手続き、関税関連の業務など国際的な業務が多く含まれます。そのため、英語などの語学力があると有利です。

dodaの2023年のデータによると、貿易事務の平均年収は全体で385万円となっており、男性が426万円、女性が362万円という結果が出ています。このように、業務内容の専門性に加え、語学スキルを活用することで年収アップを目指せるのが特徴です。

医療事務など特定分野の年収

医療事務は、医療施設でカルテの管理や診療報酬請求事務(レセプト業務)、受付業務などを担当する重要な職種です。特定のスキルを必要としますが、他の事務職と比較すると年収は控えめである場合が多いです。

dodaの調査によると、医療事務の平均年収は286万円であり、これは事務職全体の平均343万円や営業事務の337万円と比較すると低い水準にあります。特に女性の平均年収は277万円と、他の事務仕事よりやや低めです。この原因として、医療業界全体の給与体系や、地域差が大きく影響していると考えられます。ただし、医療事務は正社員以外の雇用も多いため、雇用形態による年収の違いにも注意が必要です。

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4. 事務職の年収アップの方法

スキルの習得・資格取得の重要性

事務職の場合、年収アップにはスキルの習得や資格取得が効果的です。特に、経理や会計に関する資格、例えば簿記やファイナンシャルプランナーの資格を持つことで、実務能力をアピールできます。また、ExcelやWordなどの基本的なオフィスツールのスキルを高めたり、データ分析やプレゼンテーション能力など、より高度な技術を習得することも重要です。これにより業務の幅を広げ、職場内での評価を高めることが可能になります。

転職活動のポイントと注意点

年収をアップさせる手段として、転職も有力な方法です。特に、都市部の大手企業や業界のリーディングカンパニーは、事務職であっても比較的高い平均年収を提示することが多いです。しかし、求人情報を精査し、自分のスキルや経験が要求にマッチしているかをしっかり確認する必要があります。また、転職の際には雇用形態や昇進の可能性など長期的なキャリア視点で選ぶことが大切です。

副業・新たなキャリアにつなげる方法

近年、副業を通じて収入を補填する事務職の方も増えています。一例として、ライティングやデータ入力、オンライン事務サポートなど、リモートで行える仕事が人気です。これらは本業に支障を与えることなくスケジュールの調整が可能であり、特に女性が多い事務職では育児と両立させられる利点があります。また、副業を選ぶ際は、自分のスキルをさらに伸ばせるものを選ぶことで、新たなキャリアや本業での付加価値向上を目指すこともできます。

働く地域・企業選びの重要性

事務職の年収には、地域や企業の規模・業種が大きく影響します。例えば、東京都や大阪府などの都市部では、地方に比べて事務職の平均年収が高いことが一般的です。また、大手企業や上場企業では安定した給与と昇給の機会が期待できる一方、中小企業やスタートアップ企業ではスキルを積みやすい環境があるため、成長に応じて給与アップの可能性も考えられます。そのため、自分が目指すキャリアに合った企業や地域を選ぶことが重要です。

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5. まとめとこれからの事務職年収の展望

データが示す事務職の現状

事務職はワークライフバランスを重視する人にとって魅力的な職種であり、特に女性からの人気が高いと言えます。しかし、dodaの2023年版データによると、事務職全体の平均年収は343万円と、全職種の平均年収414万円と比べて低い傾向にあります。また、正社員の平均年収が約466万円であるのに対し、非正社員は303万円と雇用形態によっても大きな差が見られます。

男女別に見ると、事務職の平均年収は男性が406万円、女性が327万円と、約79万円の差があり、これは昇給スピードや育児・出産といったライフイベントの影響が要因の一つと考えられます。また、事務職種の中でも貿易事務や経理など専門性の高いポジションが比較的高い年収傾向にある一方、医療事務や一般事務では年収が低い結果となっています。

今後の変化と将来性

最近では、業務のデジタル化や業務効率化が進んでおり、事務職にもITスキルや専門的なノウハウが求められるようになっています。そのため、ITツールやシステムを活用した効率的な業務遂行が可能な人材は、今後も需要が高まると予想されます。特に経理や貿易事務などの専門性を持つ事務職は、年収アップが期待できる分野として注目されています。

また、働き方の多様化が進む中で、副業を含めた収入源の多角化や、テレワークを取り入れた新しい勤務形態が広がることも事務職の未来に影響を与えるでしょう。

キャリアプランを考えるポイント

事務職の年収アップを目指すには、スキルアップが重要です。特に、簿記などの資格取得や、エクセルをはじめとする業務効率化ツールの習熟度を高めることが有効です。また、希望する業界や企業規模も年収に大きな影響を与えるため、大手企業や上場企業への転職を視野に入れるのも一つの手です。

加えて、都心部や賃金水準の高い地域で働くことで年収アップを狙うことも現実的な方法です。さらに、営業事務や貿易事務など他の事務系職種へのキャリアチェンジに挑戦することも選択肢の一つです。柔軟なキャリア設計を心がけることで、自身の価値を高め、より高い年収を目指すことが可能となります。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)