コトラ（広報チーム） 
大卒の平均年収データの概要
最新の統計から見る平均年収
大卒の平均年収は710.5万円というデータが示されています。この数値は2022年11月から2023年10月までの調査に基づいており、対象者の平均年齢は41.6歳です。前年の調査結果と比較すると、平均年収は745.8万円から35.3万円減少しています。また、全体の平均月収は約30.2万円で、手取り額は22.7～25.7万円程度とされています。このような年収データは、景気や物価上昇の影響を受けるため、前年と異なる傾向が伺えます。
男女別の年収差
男女別の年収を比較すると、大卒男性の平均年収は823.4万円、女性は501.8万円となっており、およそ320万円の差があります。この差は、昇進や昇格のスピード、役職に就く割合の違いに起因していると考えられます。例えば、30代では男性の課長・部長クラス以上の比率が16.9%であるのに対し、女性は5.5%に留まっています。さらに、女性契約社員の比率が高いことも収入差の一因です。女性活躍推進法により、賃金格差データの公表が義務化されていますが、実際の差を埋めていくためには長期的な取り組みが必要とされます。
業種別で見る収入の違い
業種による収入の違いも大卒の平均年収に大きく影響します。一般的に、金融業やIT業界など高収益を上げる業種では平均年収が高い傾向にあります。一方、教育や介護といった業種では収入が比較的低い場合もあります。これは各業界の利益率や需要、従業員への還元率などが影響しているためです。また、専門性が高い分野ではスキルや経験による個人差が年収にも反映されやすい特性があります。
企業規模による収入の特徴
企業の規模も年収に大きな影響を与える要素の一つです。大手企業では福利厚生が充実しており、基本給やボーナスの面でも中小企業を上回ることが多いです。一方、中小企業では役職に就くスピードが比較的早いため、個人の能力次第では早期に収入を増やすことも可能です。大卒の平均年収データを見ても、企業規模が収入に重要な要素であることが伺えますが、自身のスキルやキャリア設計に応じた企業選びが求められます。
地域別の年収傾向
地域によっても年収には大きな差が見られます。例えば、首都圏や大都市圏では企業数が多く、収入の高い業種や職種が集まる傾向があります。その反面、地方では平均年収が低い場合が多く、特に地方都市では企業規模の小ささや経済規模が影響していると考えられます。また、地方での生活コストが低いことも収入差の背景にある要因です。地域に特化した求人情報や地元企業に目を向けることで、自分に合った収入と働き方を見つけることが重要です。
年齢別に分析する大卒の年収推移
20代～30代の年収変化
大卒の場合、20代から30代にかけて年収は大きく変化していきます。20代の平均年収は459.1万円であり、男性が504.4万円、女性が399.6万円と、男女間で約100万円の差があります。30代になると平均年収は590.2万円に上昇し、男性が703.0万円、女性が466.9万円と差がさらに広がります。この年収の伸びは、昇進や昇級、また専門性の高い業務への従事が増えていくことなどが主な要因です。
30代の中盤以降になると昇進する割合が増加し、特に男性では課長・部長クラスに昇る人も多くいます。一方で女性は契約社員の比率がやや高めであることや、職場での昇格スピードが男性ほど早くない場合があることから、年収の伸びが男性ほど顕著ではない傾向にあります。
40代以降の収入のピークと減少傾向
40代に入ると、多くの大卒者は年収のピークを迎えます。男性の場合、この年代で49.9%が課長・部長クラスに昇進し、企業内での責任あるポジションに就くことで収入が増加します。40代の平均年収は、男性と女性で300万円以上の差があり、男性の昇進昇格のスピードが収入に大きな影響を与えています。
ただし、50代後半以降になると昇給のペースが緩やかになり、場合によっては収入が減少する傾向も見られます。特に退職間際になると役職の退任や業務量の減少により収入が落ちることがあります。また、契約社員として働く割合が高い女性では、40代以降も男性と比べて収入のピークが抑えられる特徴があります。
年収や昇給に影響する要因
大卒の平均年収や昇給に影響する要因としては、業種や企業規模、勤務年数、役職などが挙げられます。特に企業の規模が大きいほど、一般的に基本給やボーナスが多くなる傾向があります。また、業種別ではITや金融、製薬業界などが高収入になりやすい分野と言われています。
一方で、昇進機会の多寡や勤続年数による差も顕著です。男性では長期的なキャリアを築きやすく、結果的に課長・部長クラスなどの高役職に就く割合が高いことが収入に寄与しています。女性の場合、結婚や出産を契機に勤務スタイルを変えるケースがあり、これが昇進や年収に影響を及ぼす場合もあるようです。
昇給と役職の関係性
大卒者の年収において、役職の影響は無視できないポイントです。特に30代半ばから40代にかけて、課長や部長クラスに昇進する男性が増えることで平均年収が大きく引き上げられていることがデータからも明らかです。課長職以上になることで、基本給が大幅に上昇し、ボーナスの額も増える傾向にあります。
一方で女性では、課長職以上の割合が30代では5.5%、40代では18.3%と男性に比べて低く、昇進や役職との関係性が見えにくい状況にあります。これは、育児や介護といった家庭の事情が影響している場合があることや、構造的な課題が残されていることが理由として考えられます。女性活躍推進法などの施策により、この差が縮まることが期待されています。
実際の「手取り」と収入の内訳
税金や各種控除を考慮した手取り額
大卒者の平均年収は710.5万円とされていますが、実際の手取り額となると税金や社会保険料などの各種控除を差し引いた金額になります。例えば、年収710.5万円の場合、税金や社会保険料の控除額の影響により、性別や地域差を含めた手取り額は22.7万円から27.8万円程度となることが一般的です。特に控除額は収入が高いほど増加する傾向にあるため、実際の生活で使える金額は思ったより少なくなることがあります。
ボーナスや手当の割合
平均年収におけるボーナスの割合も重要な要素です。国税庁のデータによると、平均年収460万円の内訳では、平均賞与が71万円ほどを占めています。大卒の平均年収710.5万円の場合も、ボーナスが一定の割合を占めていることは容易に想像できます。また、家族手当や住宅手当、通勤手当などの付加的な収入も収入全体を構成する重要な要素であり、企業によってはこれらの手当の割合によって年収の差が大きく変わることがあります。
生活コストと収入のバランス
大卒者の平均手取り額はおおよそ20万円台後半とされていますが、生活に必要なコストを考慮すると、その余裕には個人差があります。家賃や住宅ローン、食費、光熱費に加え、子育てや教育関連の支出も考えなければなりません。特に都市部では生活コストが高い傾向にあり、手取り収入の中で家計のバランスをどう保つかが重要になります。
貯蓄の余裕を生むためのポイント
平均年収を手取りベースで考えた場合、毎月一定額を貯蓄に回すには計画的な資産管理が必要です。必要なのは、収入に見合った生活水準を設定し、定期的な支出見直しを行うことです。特に大卒者の場合、ボーナスや手当の割合が多いことが一般的なので、それらを全て消費するのではなく、積極的に貯蓄や投資に充てることが将来的な安定につながります。また、手取り額を増やすために控除の活用や節税対策も検討するべきポイントとなるでしょう。
高収入を目指すための選択肢とアドバイス
賃金の高い業界・職種の紹介
高収入を目指す上で、業界や職種の選択は重要なポイントです。最新の調査によると、ITや医療、金融などの業界は安定的に高い平均年収を誇っています。特に、IT業界ではエンジニアやデータサイエンティストといった職種が注目されています。また、医療分野では医師や薬剤師といった資格職が高い報酬を受け取る傾向があります。さらに、金融業界では投資銀行や外資系企業が他業界と比べても高い平均給与を提供することで知られています。これらの分野では、大卒の初任給も高めで、キャリアのスタート時点から高収入を狙いやすい特徴があります。
スキルアップで収入を増やす方法
スキルアップは収入に直結する可能性が高い重要なポイントです。特にIT分野では、プログラミングやクラウド技術、AIに関連するスキルを身につけることで、昇給や転職時の年収アップが期待できます。また、資格取得も有効です。医療業界では専門資格の取得、金融業界ではファイナンシャルプランナーや証券アナリストなどの資格が効果的です。さらに、継続的にトレンドを学び、業務改善やプロジェクトの成功に貢献できる人材は、昇進の可能性が高まり、平均年収を超える高収入も実現しやすくなります。
高年収を得るために進むべきキャリアの道
高収入を得るためのキャリア選択では、業種選びだけでなく、経験値を積み上げられる環境も重要です。例えば、大手企業や外資系企業では、グローバルな案件に関わる機会が多く、それが高い評価や報酬につながりやすいです。また、新卒の段階から高収入が期待できる業種を選ぶほか、異業種に挑戦してキャリアチェンジを図ることも有効です。さらに、起業やフリーランスとして独立することで、成功すれば平均年収を大幅に超える収益を得られる可能性もあります。ただし、専業フリーランスや起業家を目指す場合にはリスク管理や経済的な安定をどう確保するかも十分に考慮する必要があります。
転職で年収アップを目指す際の注意点
転職は年収アップを目指す有効な手段の一つですが、注意が必要です。まず、市場価値を把握するために、自身のスキルや経験を客観的に見つめ直し、その価値に合った業種や企業を選定することが重要です。特に業績が安定し、福利厚生が充実している企業を選ぶことで、長期的な収入の安定と成長が期待できます。また、転職時には年収だけでなく、勤務条件や昇進制度、企業文化なども確認することが大切です。さらに、20代や30代では比較的転職のチャンスが多いものの、40代以降になると年収アップを狙う転職はやや難易度が高まる傾向があります。そのため、計画的にキャリアを築くことが求められます。