コトラ（広報チーム） 
リース業界の概要
リース業界とは？その基本的な仕組み
リース業界とは、企業や個人が必要な設備や商品を購入するのではなく、一時的に借りる形で提供するサービスを展開する業界です。この仕組みでは、リース会社が対象資産を購入し、それを顧客に一定期間貸し出すことで料金を得ています。特に、企業向けの設備投資をサポートする役割が大きく、自動車や建設機器、IT関連機器、不動産など幅広い商品がリースの対象となっています。購入するよりも初期投資を抑えられる点が、この仕組みの主要なメリットです。
リース業界の主な事業内容
リース業界の主な事業内容としては、リース契約以外にも割賦販売やファクタリングといった金融商品も含まれます。特に、企業向けにはオフィス用のOA機器や生産設備、車両などの長期リースが主流です。さらに、最近ではリース終了後の中古資産の売買やリース資産の再利用にも力を入れています。一方で、個人向けには自動車リースなどの需要が増加しており、利用者が幅広くなってきている点も特徴的です。
リース業界の成り立ちと歴史
リース業界の歴史は、1950年代後半のアメリカでのビジネススキームが発展したことに始まります。日本では1960年代にリースビジネスが本格化し、設備投資のニーズ増加に応じて市場が広がりました。特に、高度経済成長期には建設機器や製造設備のリース需要が急増し、リース企業は大きな成長を遂げました。その後、1990年代のバブル崩壊を経て事業構造改革が進められ、近年ではデジタル機器や環境対応型製品のリースが市場の中心となっています。
リース業界が注目される理由
リース業界が注目される理由の一つには、初期投資を抑えられる点があります。これにより、企業は資金効率を高めながら必要な設備を活用することが可能です。また、資産を保有せずとも最新の技術や設備を導入できるため、特にスタートアップや中小企業にとってメリットの大きい仕組みです。さらに、市場規模が約10兆円と大きく、成長率5.7%と安定的な伸びを見せていることも理由の一つです。加えて、環境配慮や資源リサイクルが求められる時代においては、リース終了後の資産再利用が注目を集めており、持続可能な経済活動を支える業界としての役割を果たしています。
リース業界で働く魅力
リース業界の平均年収とその特徴
リース業界で働く際に注目されるポイントの一つが、平均年収の高さです。リース業界全体の平均年収は約463万円とされていますが、大手企業ではさらに高い水準を誇ります。たとえば、三井住友ファイナンス&リースの平均年収は883万円で、業界トップとなっています。他にも、みずほリースやオリックス、東京センチュリーなどが平均年収800万円台を超える結果を記録しており、リース業界の中でも銀行系や独立系の大手企業が高収入を実現しています。
このような高い給与水準の背景には、リース業界が資金調達や資産管理など、高度な専門知識や金融スキルを必要とする業務を携えていることが挙げられます。特に、法人顧客向けの大規模な契約を扱う機会が多いため、成果報酬や責任の大きさが給与に反映される傾向があります。
福利厚生や働きやすさのポイント
リース業界のもう一つの魅力は充実した福利厚生です。大手企業を中心に、健康保険や企業年金、住宅補助、さらには育児・介護支援制度などが整備されており、従業員が安心して働き続けられる環境が用意されています。特に金融業界と似た文化を持つ銀行系リース企業では、福利厚生の充実度が高いことで知られています。
さらに、リース業界では働きやすさも重要視されています。フレックスタイム制やリモートワークの導入が進んでおり、ワークライフバランスを重視したい方にとっても魅力的な業界です。多様な業界の顧客を相手にするため、柔軟な働き方が求められる一方で、その結果としてキャリアの幅を広げることも可能です。
リース業界と他業界の年収比較
リース業界は、他の業界と比べても平均年収がやや高い傾向にあります。たとえば、業界全体の平均年収が463万円とされるリース業界は、日本の全国平均年収である480万円（2021年）の水準には少し劣るものの、大手リース企業に属する従業員ではこれを大きく上回る年収が期待できます。
また、同じ金融業界に分類される保険業や証券業と比較すると、リース業界は安定した収益モデルを持つ分、給与面でも安定感があるのが特徴です。一方で、新興のIT業界やベンチャー系企業と比較すると、爆発的な収入の可能性こそ少ないものの、従来型の安定志向を求める方には適した選択肢と言えるでしょう。
キャリアパスと昇進の可能性
リース業界では、独自のキャリアパスが広がっています。法人向けリース営業や資産管理といった専門性の高い分野に携わることで、スキルを磨き、キャリアアップを目指すことができます。特に三井住友ファイナンス&リースやオリックスなどの大手企業では、国内外の幅広い顧客対応や大規模プロジェクトに携わる機会を得られるため、経験を積むには絶好のフィールドです。
また、リース業界は昇進のチャンスも豊富です。実績重視の文化が根付いており、優れたパフォーマンスを発揮した社員には早期昇進の可能性が期待されます。さらに、金融知識や工業設備に関する知見を深めることで、事業開発部門やマネジメント職など、さまざまな職種へとキャリアチェンジする道も開かれています。これにより、長期的な視点でキャリア形成を図る人にとって、リース業界は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
リース業界の仕事内容
リース業界での主な職種
リース業界では、多様な職種があり、それぞれの専門性を活かして働けるのが特徴です。代表的な職種としては、営業職、事務職、企画職、そして管理職などがあります。営業職は顧客へのサービス提案やリース契約の獲得に努め、事務職は契約書類の作成や管理を行います。また、企画職は市場調査を基にした新しいリースサービスの立案や提供を行い、管理職はこれら業務全体を統括しつつ戦略的な指導を担当します。
営業職の具体的な役割と求められるスキル
リース業界の営業職は、お客様にリースのメリットを伝え、契約の成立を目指します。この職種では、ただ単に商品を提供するのではなく、顧客のニーズに合わせた最適なリースプランを提案するコンサルティング能力が求められます。また、新規顧客の開拓から既存顧客へのフォローアップまで幅広い業務を担い、リース契約の流れを円滑に進める役割も重要です。高いコミュニケーション能力やプレゼンテーションスキルはもちろん、契約内容やリーガル面への深い理解も必要となります。
事務や管理職の仕事内容
事務職は、契約に関する書類の作成や顧客情報の管理を通じて、営業のサポートを行います。また、リスク管理や法令遵守を徹底するためのチェック業務も含まれます。業務が正確で機密性を保つ必要があるため、細部に気を配る注意力が求められます。一方、管理職は組織全体の業務フローを効率化する役割を果たします。プロジェクトの進捗状況を監督し、部下のスキルアップを図りつつ、リース会社の目標達成をサポートするのが主な仕事です。
リース契約の流れとポイント
リース契約は、顧客の要望に基づくヒアリングから始まり、具体的なリース条件を決定し、契約書を締結するという流れで進行します。まず、顧客のニーズに合わせたリースプランを提案し、契約内容（契約期間、リース対象物、月額リース料など）を取りまとめます。その後、必要な審査を経て、契約書の締結に至ります。このプロセスでは、法律や契約条件に基づいた明確な説明をすることが重要です。契約後も、顧客との関係性を維持し、更新契約やサポート対応を行う点が信頼構築のポイントとなります。
リース業界の未来展望と課題
今後の市場拡大の可能性
リース業界は今後も市場拡大が期待されています。その理由として、持続可能性を重視する企業の増加や、コスト削減を目的としたリース需要の高まりが挙げられます。例えば、自動車や建設機器などの高額商品を購入する代わりにリース契約を選択することで、初期投資を抑えられる点が支持されています。また、カーボンニュートラルへ向けた取り組みが世界的に進む中で、リース市場にも環境対応型商品の導入が広がっており、これがさらなる需要の拡大に寄与すると考えられます。
リース業界が抱える課題とは？
一方で、リース業界にはいくつかの課題も存在します。まず、市場成長につれて参入企業が増えることで競争が激化し、利益率の確保が課題となる可能性があります。特に、コモディティ化が進む分野では価格競争に陥るリスクがあります。また、経済環境の変動や金利上昇により、顧客の事業計画に影響を及ぼすことも考えられ、長期的なリース契約において与信管理がより重要になるでしょう。
イノベーションとDX（デジタルトランスフォーメーション）の影響
近年、リース業界ではDX（デジタルトランスフォーメーション）が進んでいます。AIやIoTを活用したサービスの提供が増えており、例えば資産の稼働状況やメンテナンス情報のリアルタイム管理などが可能となりました。これにより、顧客はより効率的な資産管理が可能となり、業界の付加価値競争がますます激化しています。また、ビッグデータを活用してリース契約の適正化やサービスのパーソナライズ化を行う企業も増えており、業界全体としてデジタル技術による競争力向上が求められる時代に入っています。
主要企業の戦略と競争力
リース業界を牽引する主要企業の戦略も、業界の未来を占う重要なポイントです。たとえば、オリックスや三井住友ファイナンス&リースのような大手企業は、その圧倒的な売上高と技術力を活かして、多岐にわたるリース商品やサービスを展開しており、競争優位を保っています。それぞれの企業は、金融サービス業としての機能だけでなく、持続可能性やDXの推進に注力し、環境対応型ビジネスや新市場の開拓を進めています。特に、オリックスは再生可能エネルギー事業などの分野でも注目を集めており、企業全体として事業の多角化に成功しています。