コトラ（広報チーム） 
リース業界とは？基本構造と市場の現状
リースの仕組みと主要な役割
リースとは、企業や個人が設備や機械、車両、ICT機器などの資産を購入することなく、一定期間借り受けるしくみを指します。このサービスにより、多額の初期投資を避けつつ必要な資産を利用することが可能になります。リース業界は、こうした資産を提供することで、利用者の資金負担を軽減し、設備投資の効率化を支援する役割を果たしています。
さらに、リースは単なる物品の貸し出しだけでなく、契約期間中の保守や管理を一括でサポートするサービスを含む場合もあります。これにより、顧客は運用面での負担を軽減し、コアビジネスに集中することが可能となります。
国内リース市場の規模と成長性
日本国内のリース市場は、リース契約高316,888億円（2022年）を記録するなど、着実な成長を続けています。特に再生可能エネルギーやICT機器といった分野での需要拡大が市場を押し上げる要因となっています。コロナ禍における不確実性を背景に、企業が設備投資のリスクを抑える手段としてリースを活用する傾向も増加しています。
市場規模の安定化の背景には、主要リース企業による多角化経営や新規分野への進出といった戦略があります。また、環境対応やデジタル技術の進化に対応したサービスの開発も、業界全体の成長を後押ししています。
リース業界を支える主要なプレイヤー
日本のリース業界は、大手企業が市場をリードしています。例えば、オリックス、三井住友ファイナンス＆リース、東京センチュリー、三菱HCキャピタルといった企業がランキング上位を占めています。これらの企業は業界内でも売上高や資産規模で大きな存在感を持っています。
また、中堅企業や専門分野に特化したリース会社も市場の重要な一翼を担っています。例えば、ICTや医療機器専門のリース会社があることから、多様な顧客ニーズに対応する体制が整っています。このような多層的なプレイヤーが、国内リース市場を支える基盤を築いているのです。
リース業界に影響を与える外部要因
リース業界は、様々な外部要因による影響を受けやすい性質があります。例えば、経済動向や金利の変動がリース契約の金額や条件に直結します。また、規制緩和や税制の変更もリース業界におけるトレンドを大きく左右する要因です。
さらに、脱炭素社会やデジタルトランスフォーメーション（DX）といったトレンドの進展が、業界に革新を迫っています。これに応じて、企業は再生可能エネルギー関連の資産リースや、ICT機器リースの技術革新に注力しています。このように、外部環境の変化はリース業界のあり方に重要な影響を及ぼしています。
2025年最新リース業界ランキング
トップ5企業の売上高ランキング
2025年版リース業界ランキングでは、各企業の売上高が重要な評価基準となっています。リース業界は、国内外でさまざまな企業に支えられており、各企業の経済規模が市場の動向に直結します。2021年の実績を基にしたデータでは、1位はオリックス、2位に三井住友ファイナンス&リース、3位に東京センチュリー、4位に三菱HCキャピタルがランクインしていました。5位には芙蓉総合リースが登場しており、全体的に約2兆円規模の企業から始まり、上位5社だけでリース業界の大部分を支える構造となっています。
2025年の最新ランキングでは、これらの企業が引き続き上位を維持している可能性が高いと予想されるため、売上高だけでなく、それぞれのビジネスモデルや市場戦略にも注目が必要です。
収益拡大のカギを握るビジネスモデル
リース業界における収益拡大のカギは、多角化したサービス提供と市場の変化に柔軟に対応するビジネスモデルにあります。例えば、オリックスは1964年の創業以来、リースビジネスだけでなく、不動産、再生可能エネルギー、事業投資などの分野にも積極的に進出し、多角化経営を成功させてきました。こうした動きは、リース市場が求める「事業の専門性」と「経営の柔軟性」の両立を実現しています。
また、三井住友ファイナンス&リースのように、中小企業をターゲットにした柔軟なリース契約が、顧客層の拡大につながっています。同時に、ICT機器や再生可能エネルギー関連の設備リースといった新しいニーズもビジネスモデルに組み込むことで、収益基盤を効果的に強化しています。
市場シェアの変化とトップ企業の動向
2025年におけるリース業界の市場シェアは、トップ企業の動向によって大きく左右されると考えられます。特に近年では、再生可能エネルギー分野への投資や、IT・デジタル機器の成長市場への対応が、企業間の差別化要因となっています。2021年時点で売上高1位だったオリックスは、確固たる基盤を維持しながらも、海外市場へのさらなる展開に注力しています。
一方、三菱HCキャピタルや東京センチュリーは、より専門化・地域特化したサービスで市場競争力を高めています。また、三井住友ファイナンス&リースは、グローバルリース市場での存在感を高めており、多国籍企業とのパートナーシップを強化しています。今後もこうしたトップ企業の市場シェア確保に向けた動きに注目する必要があります。
注目すべきリース業界の新トレンド
再生可能エネルギー関連のリース増加
近年、リース業界では再生可能エネルギー関連のリース需要が急成長しています。太陽光発電パネルや風力発電機など、企業が高額な設備を初期投資する負担を軽減しつつ活用できる点が、需要増加の背景にあります。また、政府の脱炭素政策やESG経営への関心の高まりがこの分野をさらに押し上げています。トップ企業はこの分野をいち早く取り入れることで、市場シェアを拡大しつつ、収益増加に成功していると考えられます。
ICT機器リース市場の拡大と技術革新
デジタル化の進展により、ICT機器リース市場が拡大を続けています。ビジネス向けのパソコンやモバイルデバイス、社内ネットワーク機器など、多様なICT機器がリース市場の一翼を担っています。特に、クラウドベースのサービスやセキュリティ対策の進化がリース契約の強化に寄与しています。最新技術を活用することで効率化やコスト削減を実現できる点が、企業にとって大きな魅力となっています。
脱炭素社会に向けた環境対応の取り組み
リース業界では脱炭素社会実現に向けた環境対応が熱心に進められています。企業は環境負荷の少ない機器を活用できるリース契約を提供するほか、効率的な資源使用をすすめる循環型経済への貢献にも注力しています。また、電動車両（EV）や省エネ型設備のリース需要が伸びており、トップ企業ではこうした需要拡大を収益源として活用しています。環境意識の高い顧客のニーズに対応することが、今後の競争優位性を高める要素となります。
中小企業向けリースサービスの可能性
中小企業を対象としたリースサービスは、リース業界の新たな成長エリアとされています。これまで資金面で制約の多い中小企業が高品質なサービスや設備を利用しやすくなる点が、この市場の拡大を支えています。また、リース契約を通じて資金繰りを安定化させたり、事業効率を向上させたりすることが可能になるため、小規模企業の経営者にとって非常に有益です。特にIT関連設備や物流機器のリースは、注目を集める分野のひとつです。
リース業界をリードする企業の成功要因
オリックス：多角化経営のメリット
オリックスは、日本のリース業界における売上高ランキングで一貫してトップを維持している企業です。その成功の背景には、多角化経営を推進する戦略があります。オリックスはリース業務だけでなく、不動産、金融サービス、再生可能エネルギー領域など、幅広い事業展開を行っています。この多角化は、収益基盤の安定化と事業リスクの分散に寄与しています。また、国際市場への進出も積極的で、アジアや北米を中心にグローバルな成長を遂げることで、業界全体のリーダー的ポジションを確立しています。
三菱HCキャピタル：国際的展開の強み
三菱HCキャピタルは、リース業界ランキングの上位に位置する企業で、特に国際展開における強みが特徴です。同社は70以上の国と地域で事業を展開しており、グローバルなリース市場での競争力を高めています。特に、インフラや輸送関連のプロジェクトに注力することで、海外市場でのシェアを拡大しています。また、業界最新の技術を積極的に取り入れたサービスは、持続可能な経済成長を支える重要な要素となっています。
東京センチュリー：顧客基盤の特徴
東京センチュリーは、その顧客基盤の広さと強固さが特徴的です。同社は、長年のリース業務を通じて築き上げた継続的な関係性のある顧客層を抱えており、特に中小企業からの支持が高いことが成功の要因といえます。また、金融サービスとリースを組み合わせた柔軟な提案力によって、顧客の多様なニーズに応えています。さらに、脱炭素社会への取り組みにも積極的で、環境配慮型のリースサービスの提供を進めています。
三井住友ファイナンス＆リース：柔軟なサービス提供
三井住友ファイナンス＆リースは、柔軟で多様なリースサービスが特徴の企業です。同社は、クライアントごとにカスタマイズされたリースプランを提供することで、高い顧客満足度を実現しています。また、ICT機器や再生可能エネルギーなど、成長性の高い分野への注力が顕著で、これにより収益基盤の強化に成功しています。さらに、金融大手グループの一員としての経済的安定性が信頼につながり、国内外でのプレゼンスを向上させています。