コーポレートファイナンスの融資業務で得た経験は、DCM(Debt Capital Markets)やECM(Equity Capital Markets)といった資本市場領域においても大いに活かすことができます。DCM&ECMは企業の社債や株式といった資本市場を通じた資金調達を支援する業務であり、企業の中長期戦略や資本政策に深く関与できるやりがいのあるフィールドです。本記事では、融資部門からDCM・ECM領域へキャリアチェンジするためのステップ、必要なスキル、志望動機や職務経歴書の例文を紹介します。
ステップ1:DCM・ECMの業務理解
- 社債・私募債などの発行支援(DCM)
- IPO・増資・CB(転換社債)などの株式発行支援(ECM)
- 資本政策の立案・最適資本構成の提案
- 発行体・投資家・証券会社・監査法人・弁護士との調整
- プレゼン資料・目論見書・IR資料の作成支援
ステップ2:融資経験の活かし方
- 企業の資金ニーズ把握力 → DCM/ECMの提案タイミングを捉える力に
- 財務分析・信用評価スキル → 投資家向けドキュメント作成に活用
- 資金調達の構造設計 → スキーム提案に応用
- 経営層との関係構築力 → 発行体対応における信頼構築に貢献
ステップ3:補完すべきスキル・知識
- 証券実務(金融商品取引法、ディスクロージャー制度等)
- 資本コスト(WACC)、EPS、希薄化などの理解
- IRドキュメント作成スキル
- 投資家とのコミュニケーションスキル
ステップ4:志望動機に「より長期的な資本戦略を通じて企業成長を支えたい」想いを込める
短期的な借入から、中長期的な企業価値向上を志向するDCM・ECM領域への強い興味と、企業に寄り添いたいという思いを言語化しましょう。
志望動機(例文)
私はこれまで都市銀行にて法人融資業務に従事し、多くの上場・非上場企業に対する信用評価、資金調達支援を行ってまいりました。その中で、企業の成長や資本政策の意思決定により深く関わることに興味を持ち、DCM・ECM業務に強い関心を抱くようになりました。短期の資金ニーズ対応にとどまらず、長期的な企業価値向上を見据えた最適な資金調達支援を行いたいと考えております。貴社のDCM/ECMチームにて、これまで培った財務分析力・調整力を活かし、資本市場を通じた企業成長の支援に貢献してまいりたいと考えております。
職務経歴書(サンプル)
氏名:佐藤 優 連絡先:yu.sato@example.com|080-1234-5678 【職務要約】 都市銀行にて法人融資業務を経験。財務分析、信用評価、資金調達スキーム設計を通じ、顧客企業の経営課題に対する金融面からの支援を行ってきた。今後はDCM/ECM業務を通じ、資本政策・企業成長支援をより本質的に担いたいと考えている。 【職務経歴】 〇〇銀行(2018年4月〜現在) 法人営業部 融資担当 主な業務: - 中堅〜上場企業向けの信用評価・格付対応 - 企業の財務諸表分析、稟議書作成、ローン契約交渉 - 私募債、シンジケートローン等の提案支援 - 外部弁護士・保証会社・社内リスク部門との調整 【スキル・資格】 - 財務モデリング(DCF、IRR、資本コスト計算) - 資本構成・資金調達に関する提案資料作成 - 証券アナリスト(CMA)受験中、TOEIC 860点 【学歴】 早稲田大学 商学部 卒業(2018年3月)
DCM・ECMは企業の戦略を資本市場から支えるプロフェッショナル。融資経験を基に、次なる成長支援のキャリアへ挑戦してみましょう。