アクチュアリーや保険数理に携わってきた方は、統計・数学・リスク評価といった分析スキルを武器に、リサーチ・アナリストとしてのキャリアに転身することも可能です。特に金融・保険業界を深く理解した数理人材は、経済や業界トレンド、企業財務などの分析に強みを発揮でき、証券会社や格付機関、コンサルティングファームなどで高い評価を受けています。本記事では、アクチュアリー・数理業務からリサーチ・アナリストに転職するためのステップと、志望動機・職務経歴書の例文をご紹介します。
ステップ1:リサーチ・アナリストの業務理解
- 担当業界・企業の財務分析、決算レビュー
- 経済・業界動向の分析とレポート作成
- アナリストレポートの発信、投資家対応
- モデル構築(DCF/マルチプル/セグメント分析)
- クライアント向けプレゼンテーション、提言
リサーチ・アナリストは、数字を読む力と業界への理解力、そしてその背景にあるロジックを説明する言語化力が問われるポジションです。
ステップ2:アクチュアリー経験の活かし方
- 数理モデリング力 → 財務モデルやリスク評価モデルに活用
- データ分析・仮説検証力 → マクロ・ミクロ両面での分析に強み
- 金融リテラシー → 保険・年金分野の専門知見がセクターアナリストとして武器に
アクチュアリーは「データから意味を導き出す」訓練を受けており、ファクトベースで業界分析を行うアナリスト職への親和性は非常に高いです。
ステップ3:補完すべきスキル・知識
- 財務諸表分析(PL/BS/CF)
- 企業価値評価手法(DCF法、比較企業分析等)
- マクロ経済指標、政策動向の読み解き
- 英語での調査資料読解・レポーティング
ステップ4:志望動機に「知的好奇心と分析力を社会に還元したい」という視点を盛り込む
客観的・論理的な思考に加え、「情報の価値化」を通じて企業や投資家の意思決定を支援したいという想いが重要です。
志望動機(例文)
私はこれまで保険会社のアクチュアリーとして、数理モデル構築やリスク評価、収益性分析などに従事してまいりました。専門的な分析を通じて企業の意思決定を支えるやりがいを感じる一方で、より広く社会や経済全体を俯瞰し、調査・提言を通じて付加価値を提供できるリサーチ・アナリスト職に魅力を感じ、キャリア転換を志望いたしました。貴社が重視するファクトに基づくリサーチの姿勢に強く共感しており、私の定量分析力を活かして、説得力あるレポート・提案を通じて貢献したいと考えております。
職務経歴書(サンプル)
氏名:山本 彩香 連絡先:ayaka.yamamoto@example.com|080-4567-1234 【職務要約】 大手生命保険会社にてアクチュアリーとして5年間勤務。商品設計、料率設定、収益性評価、数理モデル構築を経験。今後は分析力と業界理解を活かし、社会や投資家に向けて価値ある示唆を提供するリサーチ・アナリストとしてのキャリアを志望。 【職務経歴】 株式会社〇〇生命(2019年4月〜現在) 商品数理部 アクチュアリー担当 主な業務: - 保険商品に関する料率設計・収益性分析(NPV/IRR) - 数理モデル構築(Excel/VBA/SQL)、統計検定実施 - 年金制度・退職給付制度の分析・提案資料作成 - 金融庁向け資料、内部報告書作成 【スキル・資格】 - Excel(VLOOKUP、ピボット、VBA)、SQL、Python(学習中) - 日本アクチュアリー会一次試験合格(数学、生保、年金) - TOEIC 830点 【学歴】 東京大学 理学部 数学科 卒業(2019年3月)
数理・分析力というコアを武器に、定量データと定性視点の双方から世の中を捉え、より多くの人の意思決定を支えるアナリストとしての活躍を目指しましょう。