M&Aアドバイザリーや仲介の実務経験を経て、不動産仲介(売買・賃貸)に転職を検討する方が増えています。法人営業の経験、意思決定者との交渉力、スキーム設計力など、M&Aで培ったスキルは不動産取引の現場でも高く評価されます。本記事では、不動産仲介への転職を実現するための具体的なステップと、志望動機・職務経歴書の例文を紹介します。
ステップ1:不動産仲介の業務理解とマッチポイントの把握
不動産仲介の業務には、以下のような特徴があります:
- 個人・法人向けの物件提案と契約クロージング
- マーケット分析や立地評価、価格査定
- 地主・オーナーとの信頼構築、仕入れ活動
- 契約条件の調整、法務・税務的知識の活用
これらは、M&A業務での「案件組成」「交渉支援」「スキーム設計」などと構造が非常に似ており、特に法人向け不動産仲介ではM&A出身者の活躍の場が広がっています。
ステップ2:M&A経験を不動産仲介にどう活かすか
以下のように、M&A仲介の経験を不動産仲介業務に結びつけて整理しましょう:
- 経営者対応 → 高額不動産取引における意思決定者との信頼構築
- 企業価値評価・財務分析 → 収益不動産の査定や投資判断
- 契約支援・調整 → 条件交渉力、クロージング実務力
ステップ3:宅建資格や不動産業界知識の習得
不動産仲介業界では宅地建物取引士の資格取得が評価されます。また、業界用語・法令・建物構造・契約実務についての知識も重要です:
- 宅建士試験の学習または取得
- 賃貸借契約、売買契約の流れ・実務知識の理解
- 不動産投資に関するファイナンス知識の応用
ステップ4:志望動機に“対人支援志向”と“実行力”を盛り込む
M&Aとの共通点を押さえつつ、「地域貢献」「生活インフラ」「資産活用」といった不動産ならではの魅力を交えて、転職理由を語ると説得力が高まります。
志望動機(例文)
私はこれまでM&A仲介業務にて、企業オーナーに対する提案から条件交渉、クロージングまでを一貫して担当し、経営に関わる意思決定を支援してまいりました。その中で、不動産という「人々の暮らしや資産形成に直結する分野」に強く関心を抱き、自らの提案でお客様の人生に寄り添う不動産仲介の仕事に魅力を感じるようになりました。貴社が扱う法人・投資家向けの不動産取引において、私の対人折衝力・資産価値判断スキルを活かし、信頼される営業担当として貢献したいと考えております。
職務経歴書(サンプル)
氏名:山本 健太 連絡先:kenta.yamamoto@example.com|080-1234-5678 【職務要約】 中堅M&A仲介会社にて約4年間勤務。中小企業を対象とした事業承継・第三者承継案件にて、発掘、企業調査、条件交渉、契約支援までを一貫して担当。経営者との信頼構築、スキーム提案、実行支援に強み。今後は不動産領域において、生活や資産に関わる重要な意思決定を支援する営業担当としてキャリアを築きたいと考えている。 【職務経歴】 株式会社〇〇パートナーズ(2020年4月〜現在) M&Aアドバイザリー部 主な業務: - 案件ソーシング(紹介元開拓、セミナー開催) - 財務諸表の簡易分析、企業価値簡易評価 - 事業譲渡・株式譲渡に関する契約条件交渉、クロージング支援 - クライアントとの面談・リレーション構築(年間100件以上) 実績: - 医療系ベンチャー企業の第三者承継(5億円規模) - 不動産保有会社のオーナーMBO支援(資産評価含む) - 地方製造業のスキーム立案〜契約実行 【スキル・資格】 - Excel・PowerPoint 実務レベル - 宅地建物取引士(受験予定) - 日商簿記2級 - TOEIC 810点 【学歴】 明治大学 商学部 卒業(2020年3月)
M&A仲介と不動産仲介は、対人関係構築力・課題解決力・契約実行力において共通する要素が多くあります。視点を資産承継や生活基盤支援へと広げ、誠実な提案を積み重ねていくことで、新たなステージでの活躍が十分に可能です。