IRや経営企画の業務経験は、企業のガバナンス、リスク管理、コンプライアンスに対する高い視座を養っており、内部監査や内部統制部門にとって非常に価値あるバックグラウンドとなります。事業の全体像を俯瞰し、経営に資する改善提言を行ってきた方であれば、監査や統制の業務でもその力を発揮できるでしょう。本記事では、IR・経営企画から内部監査・内部統制への転職を実現するためのステップと、志望動機・職務経歴書の例をご紹介します。
1. 内部監査・内部統制が評価するIR・経営企画出身者のスキル
- 企業の経営課題を分析・可視化する力
- 内部統制報告制度(J-SOX)への理解
- 組織横断の業務フロー把握・改善経験
- ガバナンス・リスク意識の高さ
- 経営層との報告・提案経験
2. 転職ステップ
STEP1:業務プロセス改善や統制関連経験の棚卸し
ガバナンス強化、リスク分析、業務の標準化・マニュアル化といったテーマに関与した経験を整理し、成果として言語化しましょう。
STEP2:内部監査・統制の知識を補強
J-SOX、内部監査の基本的な流れ、監査報告書の構成などを学び、業界用語や構造に慣れておきましょう。
STEP3:監査の役割と意義を理解し、言語化する
「経営の健全性を高めたい」「リスクを可視化し、持続可能な経営に貢献したい」など、自身がなぜ監査・統制業務に興味を持つのかを言語化しておくと、志望動機に深みが出ます。
3. 志望動機(例)
IR・経営企画として、企業戦略の実行支援、全社KPIのモニタリング、投資家対応を行う中で、業務の標準化・モニタリング体制の設計に従事してまいりました。ガバナンス強化や内部統制に関する議論に接する機会も多く、経営と現場の間をつなぎ、リスクを予防・改善する立場で貢献したいと考えるようになりました。
貴社の監査部門において、業務プロセスや体制の改善提言を通じて、全社的なガバナンス体制の強化に貢献したいと考えております。
4. 職務経歴書(例)
氏名:佐々木 誠
生年:1989年生まれ(35歳)
学歴:早稲田大学 政治経済学部 卒業(2012年)
職務要約
上場企業のIR・経営企画部門にて12年間勤務。中計策定、KPI設計、業務モニタリング体制構築、ガバナンス強化支援など、戦略から実行・改善までを横断的に推進。経営管理と統制の両立を目指す中で、内部監査・統制業務への志向を深め、キャリアチェンジを希望。
職務経歴
株式会社○○ホールディングス/2012年4月~2024年3月
所属:経営戦略本部 経営企画部/IR部門
- 業務モニタリング体制:全社KPIの設計・運用、部門別評価の仕組み構築
- リスク管理支援:中期計画策定時におけるリスク要因整理・対応策立案
- 業務プロセス改善:部門横断業務のフロー可視化と標準化支援
- ガバナンス対応:統合報告書でのガバナンス・人的資本開示の企画支援
スキル・資格
- 業務モニタリング/統制設計/ガバナンス対応/業務標準化支援
- 日商簿記2級/内部監査士(CIA)学習中/TOEIC 880
- Excel(VLOOKUP・ピボット)/PowerPoint/Visio/Notion
“経営視点と業務理解を兼ね備えた監査人”として、健全な企業運営の礎を築く存在に。