IT営業は、顧客の課題に対してシステムやソリューションを提案し、関係構築とクロージングを通じて売上を創出する重要な職種です。一方、M&A仲介は、企業買収や事業承継などを目的とした売り手・買い手企業の間に立ち、交渉をまとめるプロフェッショナルな役割を担います。両者は業務内容が異なるものの、顧客の本質的なニーズを引き出す力、提案・交渉力、目標達成へのコミット力など、共通点も多く、実際にIT営業出身でM&A仲介に転職するケースも増えています。本記事では、IT営業からM&A仲介へのキャリアチェンジを実現するためのステップと、志望動機・職務経歴書の例を紹介します。
1. M&A仲介が評価するIT営業出身者のスキル
- 経営者との折衝経験(特に中小企業の社長との関係構築)
- 課題ヒアリング力と提案構成力
- 数値目標に対する高いコミットメント
- 交渉・クロージングスキル
- スピード感ある対応・セルフマネジメント力
特に「経営課題への提案営業」や「中長期での信頼関係構築」に強みがある場合は、M&A仲介でも即戦力として活躍できます。
2. 転職ステップ
STEP1:営業経験の中から「経営視点」を抽出
ITソリューションの提案を通じて、どのように顧客の経営課題を解決したのか、経営者とどんな対話を重ねたのか、具体的なエピソードを整理しましょう。
STEP2:M&Aへの関心を明確に
「事業承継の支援をしたい」「経営者に伴走し、人生の決断に関わりたい」など、M&A仲介の本質的な意義に共感していることを明文化します。
STEP3:金融・会計知識の学習を開始
簿記3級・2級の取得、財務諸表の読み方、企業価値評価(DCF、類似会社法)など、基礎的なファイナンス知識を補っておくと選考での信頼性が高まります。
3. 志望動機(例)
IT営業として、中堅・中小企業向けに業務効率化や顧客管理を支援するソリューション提案に従事してまいりました。経営者層と向き合う機会が多く、単なる製品提案にとどまらず、事業課題や組織課題への解決に携われることにやりがいを感じてきました。
近年、顧客の中でも「後継者不在」や「成長戦略としてのM&A」を意識される経営者が増える中で、自身もM&Aという手段で経営者の意思決定を支援するキャリアに進みたいと考えるようになりました。貴社の実績と支援スタイルに強く共感し、営業力を活かしながらM&Aの世界に挑戦したいと考えております。
4. 職務経歴書(例)
氏名:高山 拓也
生年:1993年生まれ(31歳)
学歴:立命館大学 経営学部 卒業(2016年)
職務要約
ITベンダーにて約8年間、法人営業として業務管理ソリューションの提案から契約・導入支援を実施。特に経営者・役員層との商談に強みを持ち、実績として4年連続でトップセールス表彰。今後は、M&Aという経営支援領域で、より高い視座から経営者と伴走するキャリアに挑戦したい。
職務経歴
株式会社○○テックソリューションズ/2016年4月~2024年3月
所属:法人営業部
- 提案営業:中堅企業・中小企業計150社以上に対し、ITツールを活用した業務効率化・コスト削減提案を実施
- 対経営者提案:経営計画に基づいた導入ROI提示、3年で30社以上と経営陣との定期商談を実施
- 新規開拓・表彰歴:飛び込み・紹介経由で年間20社以上の新規受注、全社トップセールス(2020~2023年)
スキル・資格
- 法人営業/経営者商談/新規開拓/CRM提案/クロージング
- 簿記3級(取得)/M&A実務検定初級(学習中)
- Microsoft Office/Salesforce/TOEIC 750
“ITで支援する”から、“経営判断を支える”へ。M&A仲介という次のステージで、経営者の想いに応える仕事を。
