コトラ（広報チーム） 
1. SaaS業界の現状と未来への展望
1.1 SaaS市場の成長率とその背景
SaaS（Software as a Service）市場は、近年驚異的な成長を遂げています。2021年には世界市場規模が約1,442億ドルだったのに対し、2030年には約7,032億ドルに達する見込みです。日本市場においても、2019年の市場規模は6,000億円でしたが、2025年には1.5兆円を超えると予測されています。この成長の背景には、デジタルトランスフォーメーション（DX）の推進や新型コロナウイルス感染拡大を契機としたリモートワークの浸透、働き方の多様化が挙げられます。
1.2 SaaSが与える業界・社会へのインパクト
SaaSは、業界全体に多大なインパクトを与えています。従来のオンプレミス型ソフトウェアと比較すると、SaaSは初期投資が少なく、企業のコスト削減に大きく寄与しています。また、導入後の更新や管理をサービス提供者が行うため、利用企業の運用負担が軽減される点も魅力です。これにより、特に中小企業でも先進的なITソリューションの採用が容易になりました。さらに、SaaSはカスタマーサクセス部門の需要を高め、関連する高年収ポジションの増加も後押ししています。
1.3 国内市場と海外市場の違い
日本国内市場と海外市場を比較すると、成長の速度や企業文化に違いが見られます。海外市場では、既に大規模なクラウドインフラが整備されており、米国のSaaS企業が市場の中心を占めています。一方、日本市場では、DX推進が活性化しているものの、企業のデジタル化は諸外国に比べやや遅れをとっていると言われています。こうした状況下で、国内では顧客ニーズに特化したニッチなSaaSサービスの展開が注目されています。
1.4 DX推進とSaaSの役割
デジタルトランスフォーメーション（DX）は、SaaS市場の成長をさらに加速させています。DXの本質は、単なるIT化にとどまらず、企業の業務プロセスやビジネスモデルそのものをデジタル技術を活用して変革することです。SaaSは、このDXの実現において重要な役割を果たします。例えば、クラウド型の会計ソフトや人事管理ツールを活用することで、業務の効率化が図られるだけでなく、データに基づく意思決定のスピードも向上します。また、SaaSを導入することで高度なIT人材が不要となり、企業全体の運用コストを削減する効果も期待されています。
www.kotora.jp2. 注目のSaaS企業ランキング
2.1 売上高ランキングTOP5
SaaS業界はその成長率の高さから注目を浴びており、売上高順にランキングされる企業はその業界を牽引しています。最新版（2023年）のデータによると、売上高トップの企業は以下の通りです。
1位は「エス・エム・エス」で、売上高539億7,300万円を記録しています。主に医療・介護分野でSaaSサービスを展開しており、この市場における圧倒的なシェアが成長を支えています。\
2位にランクインしたのは「オービックビジネスコンサルタント」で、売上高419億5,400万円。ERPソリューションを柱に多くの企業をサポートしています。\
3位には「ラクス」が名を連ねており、売上高は384億800万円。経費精算やデータ管理などバックオフィス業務を効率化するサービスで知られています。\
「Sansan」と「マネーフォワード」も上位に位置し、それぞれ売上高338億7,800万円、303億8,000万円を誇っています。このように、多様なサービスを提供する企業が業界の成長をけん引しています。
2.2 平均年収ランキングTOP5
SaaS業界では効率化やデジタル化のニーズが高まる中、高年収が期待できる企業も増えています。2023年時点でSaaS企業の平均年収トップ5は以下の通りです。
1位は「プレイド」で、平均年収949万円と際立っています。データ活用に特化したサービスが評価されており、人材への高い投資も特徴です。\
2位の「スカラ」は平均年収853万円。SaaSによるITソリューションを主軸に、幅広い領域で存在感を示しています。\
3位は「ユーザベース」で、平均年収759万円。ビジネスデータプラットフォームを提供する中で、専門性の高い人材に報いる体制を持っています。\
4位は「アステリア」、5位は「トヨクモ」で、それぞれ754万円と742万円という高収入を実現しています。このように、競争力のある企業ほど魅力的な条件を提示しており、SaaS業界は高年収を目指す人にとって有望なフィールドと言えるでしょう。
2.3 ユニークなサービスを提供する新興企業
SaaS市場では、独自性の高いサービスを提供する新興企業への注目が集まっています。例えば、「カミナシ」は非デスクワーカー向けの業務改善プラットフォームを展開し、現場業務の効率化で多くの企業に貢献しています。\
「タイムリープ」はオンライン学習やスキルアップを支援するサービスを提供し、多様な学習ニーズに応えています。\
さらに、「スマレジ」はクラウド型POSシステムを提供し、小売業の業務効率化に貢献しています。このように、特定のニーズにフォーカスしたサービスを展開する企業が市場の新たな可能性を切り開いています。
2.4 持続可能性と社会貢献が評価される企業
近年、持続可能性や社会貢献が企業評価の重要な要素となっています。SaaS業界ではこれらの観点に配慮した企業も増えています。\
例えば、「Sansan」では、名刺管理を通じた情報のデジタル化だけでなく、紙資源の削減にも積極的に取り組んでいます。同様に、「マネーフォワード」は個人や中小企業が抱える課題に応えるサービスを提供し、社会的意義のある事業を展開しています。\
さらに、「サイボウズ」は働き方改革に貢献するグループウェアを展開し、多様な働き方を支えることで企業の成長と社会貢献を両立しています。このように、環境への配慮や社会的課題の解決を目指す企業が市場の注目を集めています。
3. SaaSにおける高年収ポジション解説
3.1 フィールドセールス：高年収を得るポイント
フィールドセールスはSaaS業界において高年収を得やすいポジションの一つです。この役割では、企業のニーズを的確に把握し、自社の製品・サービスを提案するスキルが求められます。特に、顧客との関係構築能力や問題解決能力が収益へ直結するため、評価が給与にも反映されやすいのが特徴です。目標を達成するための効果的な営業戦略を設けることや、大手企業との商談を成功させる経験が高年収への第一歩となります。また、デジタルトランスフォーメーション（DX）の進展により、新規顧客の開拓需要が急激に高まっており、これに対応できるリーダーシップも重要なスキルです。
3.2 カスタマーサクセスの評価基準
カスタマーサクセスはSaaS業界特有のポジションで、顧客満足度を向上させることが主なミッションです。売上の増加やチャーンレートの低減に直接関与するため、近年はその成果が明確に評価される仕組みが整いつつあります。評価基準としては、顧客のアカウント拡大（アップセル・クロスセル）、顧客維持率、およびNPS（顧客ロイヤルティ指標）などが挙げられます。これらの指標を高い基準で達成できれば、自然と年収アップのチャンスが広がります。また、高収益をもたらす顧客との長期的なパートナーシップを築ける能力が、SaaS業界のカスタマーサクセス担当者に強く求められています。
3.3 テクニカル部門の需要と待遇
SaaS業界におけるテクニカル部門は、サービスの基盤を支える極めて重要な役割を果たしています。特に、クラウドコンピューティングやデータ分析に精通した人材は高い需要があります。インフラエンジニアやデータサイエンティスト、ソリューションアーキテクトなどの職種は、一般的に市場価値が高く、待遇も他の部門と比べて優れています。さらに、スケーラビリティの高いシステム構築経験やトラブルシューティングにおける実績が豊富な技術者は、高年収ポジションを狙いやすいでしょう。SaaSサービスが高度化・多様化する中で、技術面を強化し他の候補者と差別化を図ることが、おすすめのキャリア戦略です。
3.4 経験者向け：昇給のためのキャリア戦略
SaaS業界で高年収を目指す経験者にとって、適切なキャリア戦略を立てることが重要です。まず、自身の専門分野を深掘りし、市場価値を一層高めるスキルを習得することが、昇給につながる鍵となります。例えば、データ関連の資格取得や、顧客管理ツールに関する知識の拡充が効果的です。また、新しい役職やポジションを狙う際、転職エージェントを活用することで、自身のスキルセットに最適な求人を効率的に見つけることが可能です。特に「レバテックキャリア」や「マイナビ」などの転職エージェントは、SaaS業界に特化した求人を多数取り扱っており、年収アップを目指す転職成功者も数多く輩出しています。さらに、業界内でのネットワーキングやメンター制度の活用により、昇進や新たな挑戦の機会をつかむことが可能です。
4. SaaS業界への転職とキャリアアップ術
4.1 SaaS未経験でも挑戦可能なポジション
SaaS業界は近年、急速に成長し、幅広いポジションが求められています。未経験者でも挑戦できるポジションとして、インサイドセールスやカスタマーサポートが挙げられます。インサイドセールスは顧客とオンラインや電話でコンタクトを取り、商談機会を創出する役割です。一方で、カスタマーサポートはSaaSの特性や便利さを伝えながら、顧客の課題を解決する重要な役割を担います。これらのポジションでは、顧客対応力やコミュニケーション能力が重視されるため、ITスキルが未経験でも挑戦しやすい点が特徴です。
4.2 人気転職エージェントの活用法
SaaS業界への転職には専門のエージェントを活用することで、効率よく求人情報を得られます。特に「レバテックキャリア」や「マイナビ」「リクルートエージェント」といったITやデジタル分野に強いエージェントは、求職者に合わせた高年収求人を紹介する実績が豊富です。転職エージェントは非公開求人を扱うことも多く、直接応募するよりも魅力的な求人に出会える可能性が高いです。また、履歴書や職務経歴書の添削、模擬面接といったサポートも受けられるため、未経験者でも安心して転職プロセスを進められます。
4.3 成長するSaaS企業が求めるスキルとは？
急成長するSaaS企業は、業界特化型のスキルよりも汎用性の高いスキルを持つ人材を求める傾向があります。具体的には、クラウドプラットフォームの知識やデータ分析スキル、またはプロジェクト管理能力が高く評価されます。また、カスタマーサクセスやフィールドセールスといった顧客対応部門では、顧客の課題を把握し、最適なソリューションを提案する能力が重要視されています。さらに、特定の業界における業務知識がある場合もプラスになります。これらのスキルを磨くことで、高年収ポジションへの道が広がります。
4.4 転職後のキャリアアップ成功事例
実際にSaaS業界へ転職し、キャリアアップを果たした事例はいくつもあります。例えば、営業職としてスタートし、売上目標を達成することで短期間でマネージャー職へ昇進したケースや、未経験からカスタマーサクセスに挑戦し、顧客満足度を向上させる取り組みが評価され、年収が大幅にアップした例もあります。また、技術職からプロダクトマネージャーへキャリアチェンジし、SaaSプロダクト全体の戦略を担当する立場に就いた成功事例も人気です。エージェントのサポートを受けることで、こうした成長企業でのキャリアアップの道を切り開くことができます。