インフラエンジニアからセキュリティコンサルタントに転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

クラウドシフトやゼロトラストの流れが加速する中で、情報セキュリティに関する需要は年々高まっており、セキュリティ人材の確保は多くの企業にとって最重要課題の一つとなっています。その中でも、ネットワークやサーバなどの知見を持つ「インフラエンジニア」から「セキュリティコンサルタント」へのキャリアチェンジは非常に現実的かつ有望な選択肢です。

本記事では、インフラエンジニアがセキュリティコンサルタントへ転職するためのステップ、必要なスキル、キャリアの棚卸し方法、志望動機や職務経歴書の書き方までを具体的に解説します。

セキュリティコンサルタントとは?

セキュリティコンサルタントとは、企業や組織に対して情報セキュリティ上の課題を洗い出し、対策の立案から実行支援、運用・改善までをトータルでサポートする専門家です。

  • リスクアセスメントの実施(現状分析・脆弱性の洗い出し)
  • セキュリティポリシーや規程の策定・見直し
  • セキュリティ対策の企画・導入支援(EDR、WAF、SIEMなど)
  • セキュリティ監査、インシデント対応訓練
  • ISMSやSOC2など認証取得支援

単なる技術者ではなく、「経営とセキュリティ」「ビジネスとIT」の橋渡し役となる立ち位置が特徴です。

インフラエンジニアがセキュリティコンサルに向いている理由

インフラエンジニアは、IT基盤に精通しているという強力なバックグラウンドを持っているため、セキュリティ対策の設計・実装を現場視点で支援できる貴重な人材です。

  • ネットワーク構成、通信制御の理解 → FW設計やNW監視との親和性
  • OS・ミドルウェアの知識 → パッチ管理や権限設定の理解
  • クラウド(AWS/Azure/GCP)環境でのインフラ運用 → クラウドセキュリティ要件との接点

「どう守るか」を現実的な設計に落とし込めるのは、インフラを熟知したエンジニアならではの強みです。

転職成功に向けた4つのステップ

ステップ1:セキュリティ業務の全体像を把握する

まずはセキュリティコンサルタントの業務範囲を理解しましょう。業務は「予防・検知・対応・復旧」に分類されます。

  • 予防:ポリシー策定、教育、アクセス制御
  • 検知:ログ監視、脆弱性スキャン、EDR導入
  • 対応:CSIRT対応、SOC構築、インシデントレスポンス
  • 復旧:BCP策定、システム復旧手順作成

特定のツールや製品だけでなく、「セキュリティをどう全社的にマネジメントするか」という視点が必要です。

ステップ2:これまでのインフラ経験を棚卸しする

インフラエンジニアとしての経験を、セキュリティとの接点という視点で再整理してみましょう。

  • ファイアウォールやACL設計 → ネットワークセキュリティの基礎
  • 認証・権限管理(AD、IAM) → アクセス制御の知見
  • ログ設計・監視 → SIEMやインシデント分析への応用
  • クラウド環境の構築・運用 → クラウドセキュリティ対策

これまでの業務の中で「セキュリティ観点を持って工夫した点」があれば積極的にアピールしましょう。

ステップ3:セキュリティ関連の資格・知識をキャッチアップする

  • CompTIA Security+(初学者向け、網羅性あり)
  • 情報処理安全確保支援士(国家資格、実務レベル)
  • CISSP(実務経験者向けのグローバル資格)
  • クラウド系:AWS Security Specialty、Azure Security Engineer

資格取得だけでなく、セキュリティガイドライン(NIST、ISO27001、OWASP Top10など)も一通り触れておくと理解が深まります。

ステップ4:志望動機で「守る側」への思いを語る

志望動機では、「なぜ技術職からコンサルティング業務に進みたいのか」「なぜセキュリティに興味を持ったのか」を明確に語れるようにしましょう。

  • 構築したシステムを守る立場になりたい
  • 社会的な使命感・セキュリティ事故への危機感
  • 経営視点でのリスクマネジメントに関与したい

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志望動機(例)

私はこれまでインフラエンジニアとして、オンプレミスおよびクラウド環境におけるネットワーク・サーバ構築や運用保守に従事してきました。その中で、常にセキュリティリスクを意識しながら設計・設定を行っており、障害発生時の原因調査やアクセスログの分析などを通じて、「守る技術」の重要性を強く実感してまいりました。

今後は、より広い視野で組織の情報資産を守るための支援がしたいと考え、セキュリティコンサルタントとして、技術とマネジメントの両面から貢献できるキャリアに挑戦したいと考えるようになりました。これまでの知見を活かし、御社のセキュリティ強化プロジェクトにおいて実効性の高い支援を行ってまいります。

職務経歴書(例)

■職務要約

SIerおよび自社サービス企業にてインフラエンジニアとして5年勤務。ネットワーク/サーバ構築・運用、クラウド移行、認証基盤の設計、ログ監視・分析などを担当。技術的なセキュリティ対策に加え、設計レビューや運用ポリシー策定にも関与。今後はセキュリティ領域に専門性を広げ、コンサルタントとしてクライアント支援に携わることを志向。

■職務経歴

株式会社〇〇システム(2019年4月〜現在)

  • ネットワーク設計・構築(FW/ルータ/ACL設計含む)
  • Linux/Windowsサーバの構築および脆弱性パッチ運用
  • AWS環境におけるVPC設計、IAMロール設定、CloudWatch設定
  • システムログの集約・監視(Zabbix、ELK)とインシデント対応支援
  • VPN、プロキシ、証明書(Let’s Encrypt)導入支援

■保有資格・スキル

  • 基本情報技術者
  • CompTIA Security+(2024年取得)
  • AWS認定ソリューションアーキテクト-アソシエイト
  • ネットワーク、OS、クラウド基盤の設計・運用経験

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まとめ:「守る技術者」から「リスクを管理する専門家」へ

インフラエンジニアとしての実務経験は、セキュリティの「現実解」を導く上で非常に大きな武器になります。今後ますます求められるセキュリティ人材として、現場からマネジメントへと視野を広げることは、キャリアの可能性を大きく広げることに繋がります。

本記事を参考に、「守る技術」を「提案できる知見」へと昇華し、セキュリティコンサルタントへの第一歩を踏み出してみてください。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)