人事戦略(制度設計・人事企画)からピープルアナリティクス業務推進に転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

近年、多くの企業が人的資本経営に取り組む中で、「ピープルアナリティクス(People Analytics)」の重要性が高まっています。従来の人事企画や制度設計に加えて、データドリブンな人材マネジメントを推進するスキルが求められるようになってきました。

そんな中、人事企画や制度設計の経験をベースに、ピープルアナリティクスの領域にキャリアを広げたいと考える人事パーソンが増えています。本記事では、人事企画からピープルアナリティクス業務への転職を目指すためのステップや必要なスキルセット、志望動機・職務経歴書の作成ポイントまで、体系的にご紹介します。

ピープルアナリティクスとは?

ピープルアナリティクスとは、社員に関するさまざまなデータ(人事データ、勤怠、異動、評価、エンゲージメント調査、スキル情報など)を収集・分析し、科学的根拠に基づいた意思決定を行うための手法です。

  • 離職リスク予測・要因分析
  • ハイパフォーマーの行動特性の可視化
  • エンゲージメントと業績の相関分析
  • 人事施策の効果測定(研修、異動、人事制度)
  • 人的資本情報の開示対応(ISO30414など)

これまで「勘と経験」に頼りがちだった人事領域を、エビデンスに基づき、継続的に改善していくための仕組みづくりが期待されます。

なぜ人事企画出身者がピープルアナリティクスに向いているのか?

ピープルアナリティクスは単なるデータ分析業務ではありません。組織・人材マネジメントへの深い理解がなければ、分析結果を施策につなげることができないため、以下のような理由で人事企画経験者が重宝されます。

  • 人事制度(等級・評価・報酬)の知見をもとにデータの構造を理解できる
  • 現場の実態や人材育成の課題感を把握している
  • 経営層に対する報告・資料作成・施策提案経験がある
  • 「分析して終わり」ではなく、意思決定に落とし込むスキルを持つ

これまで属人的に扱われていた「人材」に関する情報を、定量・定性の両面から扱える点が大きな強みになります。

転職成功のためのステップ

ステップ1:ピープルアナリティクスの業務領域を理解する

まずは自社でどのようなピープルアナリティクスが求められているかを把握しましょう。

  • 人材データ統合(人事システム、勤怠、スキル情報など)
  • ダッシュボード作成(BIツールの活用)
  • 離職・昇進・評価結果の傾向分析
  • 人的資本KPI(エンゲージメント、定着率、生産性等)の設計とモニタリング

企業規模や業界によって、求められる分析レベルや目的も変わるため、転職先の状況に合わせた理解が大切です。

ステップ2:人事企画経験を「分析・可視化」の視点で棚卸し

これまで携わった人事企画業務を、ピープルアナリティクスの視点で再整理しましょう。

  • 評価制度設計 → 評価分布分析、評点バイアス分析
  • 異動施策設計 → 異動後の定着率・生産性のモニタリング
  • 人材育成企画 → 研修前後のパフォーマンス比較、ROI分析

これらの施策をデータで裏付け、経営にフィードバックしていく姿勢を示すことがアピール材料になります。

ステップ3:分析スキル・ツールの習得

分析スキルが必須というより、「データ活用に関する理解」が求められます。

  • Excel(関数、ピボット、PowerQuery)
  • BIツール(Tableau、Power BI、Lookerなど)
  • SQL(基本的なSELECT文の理解)
  • 統計の基礎(相関、回帰、クロス集計)

文系バックグラウンドでも、分析の「設計力」と「現場への示唆出し」ができる方は多くの企業で求められています。

ステップ4:「人事×データ」への志向性を明確に伝える

志望動機では、「データ分析スキル」よりも「なぜ人事領域でデータを使いたいのか」という姿勢が問われます。

  • 人材育成や制度改革を数値的に裏付けたい
  • 人に関する意思決定の精度を高めたい
  • 人事部門を「戦略的部門」に進化させたい

このような視点を、自身の経験と結びつけて言語化しましょう。

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志望動機(例)

私はこれまで、人事企画部門にて等級・評価・報酬制度の見直し、育成体系の再構築、エンゲージメントサーベイの設計・運用などを通じて、人事施策の企画から導入まで幅広く経験してまいりました。

その中で、人材施策の意思決定において「感覚や場当たり」ではなく、データに基づいた説得力のある施策立案が必要だと強く感じるようになりました。今後は、ピープルアナリティクスの手法を活用して、経営や現場に示唆を与え、組織や社員にとって実効性のある人事を推進していきたいと考えています。

貴社が推進されている人的資本経営・HRDXの取り組みに深く共感しており、これまでの人事制度設計やサーベイ設計の知見と、データ活用への高い関心を活かして、貢献したいと考えております。

職務経歴書(例)

■職務要約

大手メーカーにて人事企画・制度設計を中心とした業務に5年間従事。等級制度の刷新、評価制度見直し、育成体系設計、エンゲージメント施策推進などの企画立案から導入・効果測定までを担当。定量的な施策評価やKPI設計にも関与しており、今後はピープルアナリティクス領域に専門性を広げていくことを志向。

■職務経歴

株式会社〇〇(2019年4月~現在)

  • 人事制度企画(等級・報酬・評価制度の再設計)
    • 評価分布・評点傾向の分析をもとに制度見直しを企画
    • 導入後の社員満足度調査・離職率との相関をモニタリング
  • エンゲージメント施策の推進
    • 全社サーベイ設計・設問改訂、BIツールでの可視化
    • 部署別スコアと業績・離職率の相関分析
  • 育成体系再構築
    • 研修満足度・行動変容のアンケート集計・傾向分析

■スキル・資格

  • Excel(VLOOKUP, Pivot, PowerQuery, 関数系分析)
  • Tableauによるダッシュボード構築経験(社内報告用)
  • 基本情報技術者試験合格
  • TOEIC 830点(社内グローバル人事会議対応経験)

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まとめ:「人事×データ」で企業を変える次のキャリアへ

人事企画の経験は、ピープルアナリティクスにおいて極めて大きなアドバンテージになります。制度・施策の背景を理解し、現場に響く形で「データに基づく意思決定」を支援できる人材が今、強く求められています。

本記事を参考に、「人事の未来」をつくるピープルアナリティクス領域へ、あなたのキャリアを一歩進めてみてください。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)