不動産投資事業からM&Aアドバイザリーに転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

不動産投資業界で培った財務感覚や交渉スキルを活かし、次のキャリアとして「M&Aアドバイザリー」を志す方が増えています。M&A領域は金融・法務・ビジネス戦略など多面的な知識を必要とする分野であり、不動産ビジネスでの経験が十分に通用する場面も多くあります。

本記事では、不動産投資事業からM&Aアドバイザリーへの転職を実現するために必要なスキルや準備、転職活動の進め方を詳しく解説します。最後に、実際に使える志望動機と職務経歴書のサンプルもご紹介します。

M&Aアドバイザリーの役割とは?

M&Aアドバイザリーは、企業の買収・売却・資本提携などに関して、戦略立案・価値評価・交渉支援・契約実行といった一連のプロセスを支援する専門職です。代表的なプレイヤーには以下のような企業があります:

  • 大手証券会社の投資銀行部門
  • FAS(Financial Advisory Services)系ファーム
  • 独立系M&Aブティック
  • 事業承継支援を行う仲介会社

クライアントのニーズに応じて、デューデリジェンス、財務モデリング、バリュエーション(企業価値評価)、契約交渉、PMI(統合支援)などを行います。

なぜ不動産投資の経験がM&Aで活かせるのか?

不動産投資の仕事は、事業性評価、財務収支計算、法務・税務の理解、交渉といったM&Aに共通するスキルが多く含まれています。特に以下のような経験は強みになります:

  • 物件取得に伴うデューデリジェンス経験(法務・財務)
  • 投資採算分析(IRR、キャッシュフロー計算)
  • ノンリコースローン等のストラクチャー構築
  • オーナー・金融機関・仲介業者との条件交渉

また、事業型不動産(ホテル、物流施設、商業施設など)の売買に関与していれば、ビジネスの構造やPLへの理解もM&A実務に直結します。

転職のためのステップと準備

ステップ1:M&A業務の理解を深める

M&Aは複雑なプロセスで構成されており、その全体像を理解することが必要です。

  • M&Aの基本スキーム(株式譲渡、事業譲渡、合併など)
  • バリュエーション手法(DCF、類似会社比較法等)
  • デューデリジェンス(会計、法務、ビジネス、税務)
  • PMIの概念と目的

基礎を理解するには、書籍やM&Aスクール、オンライン講座(グロービス、ストラテジックキャリアなど)の活用も有効です。

ステップ2:必要な知識・資格を補完する

  • 簿記2級以上(財務諸表の理解)
  • 中小企業診断士やビジネス実務法務検定(法務の補完)
  • 宅建士・不動産証券化マスターなどの不動産知識(活かす側)

M&Aアドバイザリーは公的資格を必ずしも必要としませんが、会計・財務・法務の基礎を持っていることは大きなアピール材料になります。

ステップ3:M&A関連業務に近い経験を棚卸しする

以下のような経験があれば、M&A業務への転用可能性が高いため、職務経歴書に明確に記載しましょう:

  • 投資案件のデューデリジェンス経験
  • キャッシュフローやIRR分析
  • ファンド組成・ストラクチャリング業務
  • オーナーや取引先とのクロージング交渉

ステップ4:志望動機とキャリアの一貫性を整理する

転職理由としては、「より多様な事業投資の支援をしたい」「資産単体ではなく企業全体の価値創造に関わりたい」といったビジネス志向の動機が効果的です。

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志望動機(例)

私はこれまで不動産投資会社にて、収益物件の取得・運用・売却に関するフロント業務全般に携わってまいりました。案件ごとに投資分析・デューデリジェンス・金融機関との交渉を行い、数十億円規模のプロジェクトもリードしてまいりました。

その中で、単一資産の取得に留まらず、企業や事業の価値そのものを対象としたダイナミックな投資スキームに関心を持ち、M&Aアドバイザリー業務に強い興味を抱くようになりました。現在は財務会計や企業法務についても学びを深めており、不動産で培った事業性評価や交渉力を活かしながら、今後は企業価値向上の支援に携わっていきたいと考えております。

貴社はクロスボーダーM&Aや業種横断的な案件にも強みをお持ちであり、私自身のスキル拡張と貢献のフィールドとして非常に魅力を感じております。

職務経歴書(例)

■職務要約

不動産投資会社にて5年間、主に収益不動産の取得・運用・売却に従事。プロジェクト規模は3億円~50億円。投資分析、デューデリジェンス、金融機関との調整、ファンド組成支援まで幅広い業務を経験。M&A領域へのキャリア転換を目指し、財務・法務知識の習得を継続中。

■職務経歴

株式会社〇〇不動産(2019年4月 ~ 現在)

  • 投資業務全般(取得~売却)
    – 年間5~8件の物件取得(総額150億円以上)
    – IRR、NPV、キャッシュフロー分析による投資判断資料作成
    – 外部専門家(弁護士、会計士)と連携したDDの実施
  • ファンドストラクチャリング支援
    – 匿名組合型スキームの設計、出資者向けレポート作成
  • レンダー交渉・契約クロージング
    – ノンリコースローン交渉、エクイティ比率調整
    – 各種契約書(売買・ローン契約等)のレビューと調整

■資格・スキル

  • 宅地建物取引士
  • 日商簿記2級
  • 不動産証券化協会認定マスター(学習中)
  • Excel, PowerPoint(財務モデリング、プレゼン資料作成)

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まとめ:事業性と投資眼を武器にM&Aの世界へ

不動産投資事業で培った分析力・交渉力・ストラクチャリング能力は、M&Aアドバイザリー業務においても高く評価されます。特に中堅・中小企業やアセットヘビーな業界においては、不動産知識を持つアドバイザーの価値は大きく、十分な転職可能性があります。

今後のキャリアとして、より大きな視野で事業全体に関与したい方は、ぜひM&Aというフィールドを検討してみてください。本記事がその第一歩になれば幸いです。

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この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)