製薬業界では、研究開発から製造、マーケティング、営業、薬事対応に至るまで、極めて専門性の高い業務が求められます。また、厳格な法規制・安全性要件・医療関係者との連携など、多くの制約条件の中で課題解決を行う力が養われる環境でもあります。こうした経験は、コンサルティング業務においても大いに活かすことができます。本記事では、製薬業界出身者がコンサルタントに転職するためのステップと、志望動機・職務経歴書の例をご紹介します。
1. コンサルファームが評価する製薬業界のスキル
- 新薬上市やライフサイクルマネジメントの経験
- 薬事、医療業界特有の制度理解
- 製販一体型のプロジェクト推進経験
- KOL・医療機関との関係構築力
- 臨床データ・売上分析など定量分析力
これらは、製薬・医療系の戦略・業務・デジタル・市販後支援プロジェクトなど、幅広いコンサル領域で高く評価されます。
2. 転職ステップ
STEP1:関与プロジェクト・業務の棚卸し
上市準備、新薬導入プロジェクト、MR支援体制構築、薬事対応、マーケティング戦略策定など、「背景→課題→施策→成果」で整理しましょう。
STEP2:キャリアの目的と言語化
「業界内に留まらず、より多様なヘルスケア課題の解決に関わりたい」「戦略・業務改革の上流工程に携わりたい」といった志望理由を準備しましょう。
STEP3:業界知識を抽象化・構造化
治験、薬価、プロモーションコードなどの特殊性を、業務設計や収益構造、組織設計という汎用スキルとして語れるよう準備します。
3. 志望動機(例)
製薬会社にて、新薬上市プロジェクトやMR支援、薬事・マーケティング連携などの業務に携わる中で、業界特有の制度や商流、意思決定構造を理解してまいりました。一方で、社内に閉じた支援だけでなく、他業界や複数企業にまたがる課題解決を通じて、より広い視野で価値を提供したいと感じ、コンサルタントを志望するに至りました。
貴社のヘルスケア領域における知見と、戦略から実行支援に至る一貫性のある支援スタイルに強く共感しており、私の業界経験と現場感を活かし、クライアントの価値創出に貢献したいと考えております。
4. 職務経歴書(例)
氏名:田中 結衣
生年:1991年生まれ(33歳)
学歴:東京薬科大学 薬学部 卒業(2014年)
職務要約
外資系製薬会社にて、プロダクトマネジメント・薬事対応・営業支援に従事。特に新薬上市プロジェクトにおける部門間連携や、医師・薬剤師向けの資料開発、販促戦略立案などに強みを持つ。今後は、製薬業界での経験を活かし、より広い視点から企業課題を解決するコンサルタントとして成長したい。
職務経歴
ABCファーマ株式会社(外資系)/2014年4月~2024年3月
所属:マーケティング本部/薬事部
- 新薬上市PJ:オンコロジー領域にて新薬導入。当局資料作成、説明会運営、MR向け支援ツールをリード。
- 薬事業務:国内薬事申請、PMDAとの対応、添付文書更新など法令遵守対応を主導。
- MR支援:KOLヒアリングを通じた提案資料・FAQの構築。営業成果向上に寄与。
- データ分析:売上データ・処方傾向からマーケティング戦略へ反映。
スキル・資格
- 薬事対応/マーケティング企画/新薬導入
- Excel/PowerPoint/SPSS/Salesforce
- 薬剤師国家資格/TOEIC 880
ヘルスケアという人の命に関わる領域だからこそ、真の課題解決力が求められます。次のステージでも、信頼される支援者としての歩みを始めてください。