官公庁から監査法人の官公庁セクターに転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

近年、官公庁から監査法人の「官公庁セクター」への転職を目指す方が増加しています。デジタル庁の創設や自治体DX、PFI・PPPの推進、公的機関の内部統制やガバナンス強化など、官民連携が進む中で、公共部門での経験を民間で活かす道がより開かれているからです。

本記事では、官公庁での経験をベースに、監査法人(特にアドバイザリー部門)の官公庁セクターで活躍するための転職ステップを整理し、最後に志望動機と職務経歴書の例文もご紹介します。


1. 官公庁から監査法人官公庁セクターへ転職するとは

監査法人の「官公庁セクター」は、国家機関、地方自治体、独立行政法人などを対象にしたアドバイザリー業務を担います。代表的な業務領域は以下の通りです。

  • 自治体・省庁向け業務改革(BPR)支援
  • 公共事業における事業評価・効果分析
  • 内部統制・ガバナンスの高度化支援
  • 政策立案支援・エビデンスベース分析
  • PFI/PPP、地方創生・地域活性化支援
  • デジタル活用・自治体DX推進

官公庁職員としての経験、制度理解、ステークホルダー調整のスキルは、これらのアドバイザリー業務で大いに活かされます。


2. なぜ今、官公庁出身者が求められているのか?

民間企業とは異なる構造や文化を持つ官公庁。その内側を知っている人材は、監査法人にとって非常に貴重です。以下のようなニーズが高まっています。

  • 公共事業の実態に即した支援ができる人材:制度背景・意思決定プロセスに精通
  • 行政独特の文脈を理解した助言ができる人材:現場に寄り添うアドバイスが可能
  • 省庁や自治体とのネットワークを持つ人材:信頼関係の構築がスムーズ
  • 政策と現場をつなげる橋渡し役:企画部門と実施部門を両方経験している人材

これらのスキルは、民間出身者ではカバーしきれない領域であり、まさに官公庁出身者の強みといえるでしょう。


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3. 求められるスキル・経験とは

官公庁での経験監査法人でのアドバイザリー業務での活用
行政手続・制度設計政策立案支援、制度分析業務
調査・統計分析事業評価・エビデンスベース評価
予算管理・執行財務アドバイザリー、PFI/PPP支援
住民・関係機関との折衝プロジェクトの利害調整、合意形成支援
情報システム部門との協業自治体DX・業務改革支援

また、PowerPointによる提案資料作成、Excelを用いた簡易分析、論理的な文書構成など、民間側のドキュメント作成スキルも転職前に習得しておくと有利です。


4. 転職成功のためのステップ

Step 1:経験の棚卸し

自分が担当した政策・事業、役割、成果を「構造的」に整理しましょう(誰に対して、何を、どうしたか)。

Step 2:監査法人・官公庁セクターの業務理解

四大監査法人(PwC、KPMG、EY、Deloitte)や独立系(あずさ、太陽など)のセクターごとの強みを理解しましょう。

Step 3:民間的なスキルの補完

プレゼン資料作成、ビジネス文書、ロジカルシンキングなど、民間で求められるスキルを身につけておきましょう。

Step 4:志望動機とビジョンの明確化

「なぜ民間で公共を支援したいのか」「自分の経験をどう活かせるか」を軸に、ストーリーを構築しましょう。


5. 志望動機(例文)

私はこれまで官公庁にて、地域経済政策および地方創生関連施策の企画・実行に従事してまいりました。自治体・民間企業・大学・住民団体など多様なステークホルダーとの連携を通じ、制度の設計から現場での運用までを経験してまいりました。

その中で、今後は「制度を運用する側」から「公共事業の伴走支援者」へとキャリアを転換し、より横断的な立場で社会課題の解決に貢献したいと考えるようになりました。

貴法人の官公庁セクターが手掛ける自治体改革支援、EBPM推進、業務プロセス改善などの領域において、私の行政経験と現場感を活かし、公共部門の価値創出に貢献できればと考えております。

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6. 職務経歴書(例文)

【職務要約】
国家公務員(地方出先機関)として6年間、地域経済政策、地方創生、産業支援などの業務に従事。自治体との連携事業の企画・運営、補助金の制度設計・運用、調査業務、庁内プロジェクト管理など幅広い行政経験を有する。今後は、監査法人における公共分野のアドバイザリー業務を通じ、社会課題の構造的解決に取り組みたいと考えている。

【職務経歴】
■勤務先:〇〇省 地方局(地方出先機関)  
■在籍期間:2017年4月~現在  
■職務内容:
・地方自治体との連携による地域産業振興事業の企画・補助金制度設計  
・中小企業支援事業のモニタリング・評価業務  
・EBPMに向けた政策効果分析(簡易統計分析、外部研究機関との協働)  
・新規事業立案における関係部局・庁内調整(総務・財務・情報部門)  
・内部監査対応、文書管理体制整備のプロジェクト推進  

【実績】
・年間30自治体以上との協定締結を主導し、制度利用率の前年比125%を達成  
・政策評価結果に基づく施策再設計を提案し、予算獲得(+3億円)に貢献  
・全庁共通様式・手順の統一化により、文書作成工数を30%削減  

【スキル】
・公共政策の企画立案スキル  
・官庁文書の論理構成力、調整交渉能力  
・Excel(関数・ピボット)、PowerPoint(提案書作成)  
・統計知識(回帰分析・クロス集計等の基礎)  

【資格】
・日商簿記3級(公共会計への理解を深めるため取得)  
・ビジネス実務法務検定2級  
・TOEIC 785(英文資料の読解レベル)

【自己PR】
制度立案から施策運用、関係者調整、評価分析まで一貫して担ってきた経験をもとに、課題の構造を捉え、現場と行政の両面に配慮したアドバイスができると自負しております。今後は、官公庁で培った経験をもとに、民間の立場から公共価値の創出に貢献してまいります。

7. 面接で問われやすい質問とその対策

  • なぜ官公庁から民間へ?
    →「社会課題により幅広く、構造的にアプローチしたい」という軸を。
  • 現職の中で特に力を入れた業務は?
    → 施策の企画、関係者との調整、実績(定量)を交えて説明。
  • 民間のスピード感についていけるか?
    → タイトなスケジュール管理や複数業務の並行処理経験を語る。
  • 今後どのようなテーマに関わりたいか?
    → 「EBPM」「自治体DX」「業務改革」「ESG行政」など、具体的に。

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8. まとめ:制度を創った人だからこそ、現場の課題を変えられる

制度を「作る側」としての経験を持つあなたにしかできない支援があります。監査法人という新たなフィールドで、公共部門をよりよくするための“民間からの伴走者”として、次なるキャリアを切り開いてください。

あなたの行政経験が、次は“支援者”として活きる時です。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)