自動車メーカーからファームの自動車セクターに転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

近年、自動車メーカー出身のプロフェッショナルが、コンサルティングファームの自動車セクター(Automotive Practice)に転職するケースが増えています。特に、CASE(Connected, Autonomous, Shared, Electric)やMaaS(Mobility as a Service)といった構造変化に直面している業界においては、現場に根差した知見と課題解決力を持つ人材が強く求められています。

本記事では、自動車メーカーでの経験を活かして、コンサルファームの自動車セクターに転職するためのステップ、求められるスキル、志望動機や職務経歴書の記載例までを詳しく解説します。


1. 自動車業界とコンサルティングファームが交わる今

コンサルティングファームが自動車業界に提供する支援領域は年々拡大しています。以前はコスト削減や業務改善といった効率化支援が中心でしたが、現在では以下のようなテーマが注目されています:

  • 電動化・自動運転などの技術ロードマップ策定
  • グローバルサプライチェーンの再設計
  • 新規事業(MaaS、ソフトウェア開発)立ち上げ支援
  • 生産・物流領域のDX推進
  • 組織変革・人材戦略設計

こうした変革支援を担うには、現場に根差した業界知識と、抽象化された課題整理・構造化力の両立が不可欠です。まさに、自動車メーカー出身者に求められるポジションです。


2. メーカー出身者が活かせる経験とスキル

自動車メーカーでの業務経験は、コンサルタントとして大きな強みになります。以下のように「再定義」すると、よりコンサル文脈にフィットした自己PRが可能です。

メーカーでの経験ファームで活かせる力
部品調達・生産管理SCM改善/コスト最適化コンサル
商品企画・技術企画事業戦略/製品戦略立案支援
現場改善・工場オペレーションオペレーション改革・スマートファクトリー支援
プロジェクト推進PMO/大規模変革プロジェクト管理
海外拠点との連携グローバルプロジェクトマネジメント

ポイントは「現場経験を戦略や実行支援に翻訳できるかどうか」。自分のキャリアを言語化しておくことが重要です。


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3. 転職に必要な4ステップ

Step 1:自分の経験を構造化する

業務領域(調達・開発・生産・営業など)/関わったプロジェクト/成果(定量)を整理し、「どのような課題に対して、どうアプローチしたか」を明確にします。

Step 2:コンサルティング業界の理解

戦略/業務/IT/FASなどファームごとの領域と、自動車セクターの支援テーマを理解しておくと、自身のキャリアとの接点を見出しやすくなります。

Step 3:志望動機とビジョンの明確化

「なぜメーカーを出てコンサルへ?」「なぜ今?」「なぜそのファーム?」という問いに、論理的で一貫性のある回答を用意しておきましょう。

Step 4:面接・選考対策

構造化思考、ケース面接(課題解決型)、プレゼン型の課題が出る場合もあるため、準備を怠らないようにしましょう。


4. 志望動機(例文)

私はこれまで、自動車メーカーにて海外向けSUVの企画および生産計画業務に従事してまいりました。需要予測と生産制約のバランスを取りながら、複数国の販売会社・生産拠点と連携し、収益最大化に向けた施策を現場レベルで実行してきました。

業務の中で、「単一企業ではなく、業界全体に影響を与える立場で価値を提供したい」という想いが芽生え、今回コンサルティングファームの自動車セクターを志望するに至りました。

貴社が支援されているOEM・サプライヤー向けの事業戦略・SCM改革・DX推進などのプロジェクトにおいて、私の業界知見と実行力を活かして、クライアントにとって本質的な価値を提供するコンサルタントを目指したいと考えております。

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5. 職務経歴書(例文)

【職務要約】
自動車メーカーにて約5年間、海外市場向け車種の企画・生産計画・需給調整に従事。グローバル生産・販売データを活用したシナリオ分析、各国拠点との調整・交渉を通じ、部門横断的な課題解決力を養う。今後は、業界横断的な視点から変革支援に関わるコンサルタントとしてキャリアを拡張したいと考えている。

【職務経歴】
■勤務先:株式会社○○自動車(従業員:連結60,000名)  
■在籍期間:2018年4月~現在  
■所属部門:海外事業企画部/SUV事業ユニット

【主な業務内容】
・SUV車種の年次/月次生産計画策定(北米・中東市場中心)  
・販売予測と生産キャパシティのギャップ分析・最適化シミュレーション  
・販社(米・加・UAE)との需給調整、増産・販促調整対応  
・SCM部門と連携した部品在庫・物流スケジュール管理

【実績】
・生産計画精度を前年比12%改善(誤差±15% → ±3%)  
・中東市場での年次販売目標達成率:109%(2022年実績)  
・月次需給調整会議の運営リード(拠点横断体制の構築)

【スキル】
・Excel(関数/マクロ/シナリオ分析)、PowerPoint(報告資料作成)  
・BIツール活用(Tableau)、SCM基礎知識(MRP/リードタイム設計)  
・英語:TOEIC 860(海外拠点との実務調整経験あり)

【資格】
・日商簿記2級(コスト構造理解)  
・プロジェクトマネジメント基礎講座修了(社内認定)

【自己PR】
現場と経営の間で調整・推進を担ってきた経験を通じ、問題の本質を見極め、課題を構造的に捉えて提案・実行する力を養ってきました。今後はコンサルタントとして、個別企業の枠を超えて、自動車業界全体の変革を支援する立場で貢献したいと考えております。

6. 面接で問われやすい質問とその対策

  • なぜメーカーを離れてコンサルへ?
    →「影響範囲の拡大」「業界横断での変革支援に興味がある」と明確に。
  • どのような領域の支援をしたいか?
    → 「CASE対応」「サプライチェーン改革」「工場のスマート化」など具体的に。
  • ご自身の強みは何か?
    → 現場経験を通じた実行力、数値感覚、マルチステークホルダー調整力など。
  • 5年後のキャリアビジョンは?
    → 自動車業界に特化したリードコンサルタント、またはパートナーを目指す姿を。

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7. まとめ:現場を知るあなたにしかできないコンサルティングがある

自動車業界は今、大きな変革の渦中にあります。その変革を支える存在として、業界出身者のリアルな知見と実行力が今、求められています。

自動車メーカーで積み上げた経験を、コンサルタントとして「業界全体の未来を創る」仕事へと昇華する。そのキャリアは、きっとあなた自身にとっても、大きな挑戦とやりがいとなるはずです。

新たなフィールドで、あなたの価値をさらに広げていきましょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)