施工管理からコンサルティング業界へ転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

施工管理の仕事は、建設現場における品質・工程・安全・コストを管理する重要なポジションです。その経験は、「計画・管理・調整・実行力」の集合体であり、実はコンサルティング業界でも高く評価されるスキルセットです。

近年、建設業界での業務経験をもとに、戦略コンサルティングや業務改革、DX支援などの分野で活躍する元施工管理出身者が増えています。本記事では、施工管理からコンサルタントに転職するためのステップ、必要な準備、志望動機や職務経歴書の記載例を紹介します。


1. コンサルティングファームで求められる人物像とは?

コンサルティングファームは、クライアントの経営・業務課題を分析し、解決策を提案・実行支援するプロフェッショナル集団です。職種は多岐に渡り、以下のようなものがあります:

  • 戦略コンサル:企業の中長期戦略、新規事業、M&A支援など
  • 業務コンサル:BPR(業務改革)、DX推進、コスト削減支援
  • PMO/ITコンサル:システム導入支援、プロジェクトマネジメント支援
  • 建設・不動産特化コンサル:都市計画、不動産投資分析、インフラ戦略

ファームによって求められる経験は異なりますが、共通して以下の能力が重視されます:

  • 論理的思考力
  • 課題発見・構造化力
  • 仮説構築力・ドキュメント力
  • 関係者との調整力・ファシリテーション力

これらは、施工管理で培われるスキルと重なる部分が多いのです。


2. 施工管理出身者がコンサルに向いている理由

施工管理の現場で培ったスキルは、コンサル業務においても十分に応用可能です。

  • プロジェクト管理能力:品質・コスト・工程・安全を並行して管理し、複数ステークホルダーを巻き込んできた経験
  • 関係者との合意形成力:設計事務所、ゼネコン、サブコン、行政、施主などとの調整経験
  • 問題解決能力:現場の課題を見つけ、迅速かつ実行可能な改善策を立案・遂行してきた実績
  • ドキュメント整備・報告力:現場報告書や設計変更資料、工程表の作成力

また、建設業界でのリアルな知識は、不動産・インフラ・エネルギー領域のコンサルにおいて貴重なアセットとなります。


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3. 転職までのステップ

Step 1:業界・ファーム研究

どのような分野で活躍したいかを決めましょう。不動産・建設領域に強いファーム、インフラ系の公共コンサル、業務コンサル、ITコンサルなど、自分のバックグラウンドを活かせる領域を探します。

Step 2:業務経験の言語化・構造化

「現場をまとめていた」という表現だけでなく、「どのような課題に対し」「どう考え」「どうアプローチしたか」を論理的に伝えられるようにしましょう(STARフレーム活用)。

Step 3:志望動機とキャリアビジョンを整理

「なぜ建設業を離れるのか」「なぜ今なのか」「なぜそのファームなのか」という点をストーリーとして語れるようにしておくことが大切です。

Step 4:ロジカルシンキング・ケース面接対策

コンサルでは論理的思考力が重視されます。ケース問題、フェルミ推定、ロジックツリーの作成などを練習しておきましょう。


4. 志望動機(例文)

私はこれまで施工管理職として、ビル・商業施設・インフラ工事などの建設プロジェクトにおいて、品質・工程・安全・コストの全体最適を図る業務に従事してきました。現場では、設計者・施主・行政・協力会社など多様なステークホルダーと連携しながら、数多くの課題を実行的に解決してまいりました。

一方で、現場の改善だけでなく、業界全体の構造的な課題、都市や社会インフラの在り方、DXの推進といったより上流の課題にも関心を持つようになり、コンサルタントとして組織や産業に幅広く貢献したいという思いが強まりました。

貴社の都市・不動産戦略やDX支援プロジェクトに強く共感しており、自身の現場起点の経験と論理的な課題解決力を武器に、クライアントの変革を支える存在として貢献したいと考えております。

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5. 職務経歴書(記載例)

【職務要約】
ゼネコンにて約6年間、施工管理業務を担当。マンション、商業施設、駅舎などの新築・改修工事に携わる中で、工程・品質・安全・コストの管理を一貫して行い、プロジェクトの成功に貢献。関係各所との合意形成、現場課題の迅速な対応、文書・資料作成において高い評価を得る。

【職務経歴】
■期間:2018年4月 ~ 現在
■会社名:株式会社〇〇建設(準大手ゼネコン)
■部署:建築事業部 施工管理課
■職位:主任

【業務内容】
●商業施設建設(延床面積5,000㎡、RC造、工期:12ヶ月)
- 担当:工程表作成、安全管理、設計変更対応、協力会社調整
- 成果:大幅な工程遅延を回避し、原価目標達成(コスト3%削減)

●マンション新築工事(10階建て、鉄筋コンクリート造)
- 担当:品質管理、ゼネコン・設計・施主との調整、各種検査対応
- 成果:外壁施工における瑕疵防止マニュアルを全社展開

【スキル】
- プロジェクトマネジメント、工程・原価管理、安全品質管理
- 関係者調整、図面・書類作成、報告資料の構造化
- AutoCAD、Excel、PowerPoint、Word

【資格】
- 一級建築施工管理技士
- 建築士(二級)
- 日商簿記3級、ITパスポート

【自己PR】
現場管理を通じて培った課題発見・調整・改善提案の力を、より上流の立場から社会に還元したいと考えています。施工現場での「机上では動かない現実」を理解したうえで、実行性ある提案・支援ができるコンサルタントを目指します。

6. 面接で問われること(例)

  • なぜ施工管理からコンサルに転職したいのですか?
  • 施工管理の経験をどのようにコンサルに活かせますか?
  • どのようなテーマ・領域に興味がありますか?
  • 最近気になっている建設業界の課題や社会課題はありますか?

重要なのは、「なぜ離れるか」ではなく「何を次に実現したいか」をポジティブに語ることです。


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7. まとめ:現場経験は、構想と実行をつなぐ“強み”になる

施工管理の仕事で得た「現場を動かす力」「マルチタスクを統括する力」「利害調整力」は、コンサルティングの世界でも強力な武器となります。

大切なのは、自分の経験を“構造化”し、“再定義”すること。そして、その力を使って、組織や社会のより大きな課題に挑む意志を持つこと。

コンサルティング業界は、異業種出身者を積極的に受け入れる柔軟性のある世界です。施工管理で培ったリアルな経験を、次のステージで活かしてみませんか?

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)