製造業でのDX推進からシンクタンクに転職するためのステップ【志望動機、職務経歴書】

近年、製造業におけるデジタル変革(DX)を担ってきた人材が、次なるキャリアとしてシンクタンクを選ぶケースが増えています。現場起点の業務改善・システム導入・データ利活用など、産業構造の転換期を現場で体験してきた人材は、シンクタンクにおいても高く評価されています。

この記事では、製造業におけるDX推進の実務経験を活かして、シンクタンクへ転職するための具体的なステップを解説します。後半には、志望動機および職務経歴書の記載例も紹介しています。


1. シンクタンクとは?

シンクタンクとは、調査・研究・コンサルティングを通じて、政策立案・企業戦略・産業振興などに寄与する組織です。代表的な企業には以下のような名前があります:

  • 三菱総合研究所(MRI)
  • 野村総合研究所(NRI)
  • 日本総合研究所
  • 大和総研、みずほリサーチ&テクノロジーズ など

シンクタンクでは主に、以下の業務が行われています:

  • 政策提言、産業動向調査
  • 企業の中長期戦略立案支援
  • デジタル戦略・ITアーキテクチャ支援
  • ESG、カーボンニュートラル、地域創生などの社会課題対応

DXやデータ活用に関するテーマが増えており、製造業の現場経験を持つ人材は「机上の空論にしない支援役」として期待されています。


2. 製造業DX経験者がシンクタンクで評価される理由

製造業でのDX経験は、以下の点でシンクタンクで重宝されます:

  • 実務と現場理解:現実の課題・制約を踏まえた政策や戦略提言が可能
  • 業務改善とITの橋渡し経験:BPRからシステム要件定義、ベンダーとの連携までを一貫して経験している
  • 部門間調整力:プロジェクト推進に不可欠なコミュニケーション能力
  • 課題設定力とデータ活用:PoCや実証事業での構想・分析力

特に、産業政策・地域産業振興・スマートファクトリー・カーボンニュートラルといった文脈では、DX推進経験者の視点が欠かせません。


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3. 転職に向けたステップ

Step 1:シンクタンクの業務を理解する

自らが関わりたい分野(例:製造業の再構築、地域創生×テクノロジー、政策提言、デジタルガバメント支援など)を明確にし、その分野に強みを持つファームを選定します。

Step 2:現職でのDX経験を“抽象化”する

「現場改善」「生産性向上」といった具体経験を、「どのような社会的・産業的意義があるか」にまで昇華させ、業界・企業・社会への応用可能性を語れるようにします。

Step 3:志望動機・経歴の整理

なぜ今、なぜシンクタンクなのか。どのような領域で自分の強みを活かしたいかを明確にします。構想力・論理力が問われる職種のため、応募書類の質が非常に重要です。

Step 4:ケース・筆記試験・面接対策

課題分析・構造化・提言までの思考プロセスを鍛えましょう。SPIや小論文試験、プレゼン面接が課される場合もあるため、早めの準備が鍵です。


4. 志望動機(例文)

私はこれまで製造業にて、工場の業務プロセス改革やIoT・データ活用を通じたDX推進を担当してまいりました。業務設計から要件定義、現場実証までを一貫してリードする中で、現場発の変革の難しさと同時に、その可能性を強く実感いたしました。

一方で、現場に留まらず、社会全体の構造や産業全体の進化に寄与する視座を得たいと考えるようになり、シンクタンクというフィールドで、より多角的な課題解決に関与したいと考えております。

貴社が取り組まれている「地域産業×DX」や「カーボンニュートラル戦略支援」などのプロジェクトに強く共感しており、私の現場起点のDX推進経験と、関係者との合意形成スキルを活かして貢献できると考えております。

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5. 職務経歴書(記載例)

【職務要約】
製造業(電子機器メーカー)にて、生産技術・業務改革・DX推進部門を歴任。現場改善、デジタルツール導入、IoTデータ活用、AI予測モデル構築などに従事。業務分析・システム要件定義・社内合意形成など、構想から実行まで一貫して担う。全社DXロードマップ策定にも関与。

【職務経歴】
■期間:2017年4月 ~ 現在
■会社名:株式会社〇〇電子(従業員3,000名)
■職種:生産技術→DX推進(課長代理)

【主な実績】
● 工場IoT導入と予知保全モデル構築
- 設備ログを収集し、異常傾向をAIで予測
- 年間設備停止時間を25%削減
- プロジェクトPMとして、ベンダー/現場調整を担当

● データ利活用による業務KPI可視化
- SCADA、MESなど複数システムからのデータ統合設計
- Tableauでの可視化設計、現場教育を実施

● 全社DX推進ロードマップ策定
- 3ヵ年での投資計画・人材育成計画・ユースケースを設計
- 経営陣向け報告資料を作成、年度計画に反映

【スキル】
- DX戦略立案、業務BPR、要件定義、プロジェクト管理
- BIツール(Tableau、Power BI)、SQL基礎、PowerPoint
- 英語(TOEIC 810)

【資格】
- IoT検定中級、日商簿記2級、ITパスポート

【自己PR】
現場と経営の橋渡し役として、業務設計・人材教育・システム導入を包括的に進める力があります。シンクタンクでは、現場感と構想力を武器に、より大きな社会課題・産業構造の課題に挑戦したいと考えております。

6. 面接で問われやすい質問例

  • なぜメーカーの現場を離れて、シンクタンクに行きたいのですか?
  • 今後、どのような政策・社会テーマに関わりたいですか?
  • チームで動く際に、あなたが意識している役割は?
  • あなたのDX推進経験を、別業界に応用するならどうしますか?

ポイントは「構想力」と「俯瞰力」です。実行力だけでなく、「なぜそのテーマに取り組むのか」「どう社会に役立つのか」を語れるようにしましょう。


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7. まとめ:現場知と構想力で、社会を変える次のステージへ

製造業のDX推進で得た経験は、構想設計・実行管理・合意形成といったあらゆる面で、シンクタンク業務にフィットします。現場を知る人だからこそ、リアリティのある提言・戦略ができる。それが、シンクタンクにとっての最大の価値です。

自らの視座を上げ、産業の未来・社会の未来に貢献するキャリアを描きたいと願うあなたに、シンクタンクという選択肢はきっと大きな意味をもたらすでしょう。

ぜひ、次の一歩へ。社会の変革を、共に。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)