近年、製造業出身者の中でも特に電子部品メーカーに勤める技術者や企画職の方が、コンサルティングファームに転職するケースが増加しています。デジタル化・DXの流れを受けて、製造業出身者が持つ「現場理解」「テクノロジーへの知見」「業務設計力」が高く評価されているためです。
この記事では、電子部品メーカー出身者がどのようにしてコンサルティングファームへ転職できるのか、具体的なステップ、必要なスキルや書類準備、面接でのアピールポイントなどを網羅的に解説します。最後には志望動機と職務経歴書のサンプルもご用意しています。
1. コンサルティングファームが求める人物像とは
コンサルティングファームは、「クライアントの課題を構造的に捉え、解決策を提案し、実行に移す」ことを担うプロフェッショナル集団です。以下のような資質・スキルが求められます:
- 論理的思考力(ロジカルシンキング)
- 構造化・整理力(MECE、ロジックツリーなど)
- 高いコミュニケーション能力
- プレゼン資料作成(PowerPoint/Excel)
- プロジェクト推進力・巻き込み力
そして何より、「クライアントのために成果を出す」という当事者意識・プロ意識が重要です。
2. 電子部品メーカー出身者の強み
電子部品メーカーでの経験は、コンサル業務において以下のように強みとなります。
- サプライチェーン・製造工程に関する実践知識
プロセス設計、品質改善、生産性向上に携わった経験は、業務改善プロジェクトで活かされます。 - 技術とビジネスの橋渡しができる視点
技術開発部門と営業・企画部門の調整役として動いた経験は、DX案件やシステム導入支援で強みとなります。 - グローバルでの調整・折衝経験
海外拠点との業務や海外顧客との交渉経験は、グローバルプロジェクトで評価されます。
特に、製造DX・サプライチェーン改革・生産管理改革に関わるプロジェクトでは即戦力として期待されます。
3. 転職までのステップ
STEP 1:キャリアの棚卸し
今まで担当した業務を、成果(KPI、定量実績)とともに洗い出しましょう。「どんな課題に対して、どう考え、どのようにアクションを取り、どんな成果を出したか」を軸にまとめると、職務経歴書にも面接にも使えます。
STEP 2:ロジカルシンキングと資料作成のスキル習得
ケース面接や課題プレゼン対策として、ロジカルシンキング(MECE・ピラミッド構造・フレームワーク活用)を実践的に学びましょう。PPTによる構成力・ストーリー構築も重要です。
STEP 3:職務経歴書と志望動機の作成
自分の経験がどのようにコンサルの現場に役立つかを意識して、応募書類を構成しましょう。
STEP 4:面接対策
自己紹介・逆質問・ケース面接・フェルミ推定など、一般的なコンサル選考に備えましょう。コンサル未経験者の場合、実行力・素直さ・吸収力が評価されやすいです。
4. 志望動機(例文)
私はこれまで電子部品メーカーにて、生産管理、業務改善、グローバルSCMの最適化などを担当してまいりました。その中で、属人的な業務やシステムの非効率性といった課題に対して、部門横断の業務プロセス設計やBPRに主体的に取り組んできました。 この経験を通じて、特定企業の枠を超え、より多くの企業の構造的な課題解決に携わりたいという思いが芽生え、コンサルタントへの転職を決意いたしました。 特に貴社が強みとされている製造業DX支援やサプライチェーン改革のプロジェクトに強く惹かれており、自分の現場理解と改善推進の経験が、顧客企業の変革を支える力になると確信しております。
5. 職務経歴書(記載例)
【職務要約】 電子部品メーカーにて生産管理・SCM領域における業務設計・BPR推進を担当。部門間の調整や業務標準化、デジタルツール導入プロジェクトのPM補佐を経験。現場起点の課題抽出と、論理的な改善提案を強みとする。 【職務経歴】 ■期間:2018年4月~2024年3月 ■企業:株式会社〇〇電子(従業員数:2,000名) ■部署:SCM企画部 ■役職:主任 【主な業務内容】 ●生産計画プロセス標準化プロジェクト - 部門横断でTo-Be業務フローを設計、運用フローをシステム化 - リードタイム15%短縮、作業工数20%削減を実現 ●グローバルサプライチェーン最適化 - 中国・タイ拠点との在庫回転率改善プロジェクトを主導 - 3拠点連携での週次在庫分析体制を構築、在庫回転数25%向上 ●RPA導入による業務自動化支援 - 過去実績の集計業務(月30時間)を自動化、全社展開に貢献 【資格】 - 日商簿記2級 - TOEIC 835点 - VBA基礎スキル、Power BI操作経験あり 【スキル】 - ロジカルシンキング、業務プロセス設計、データ分析 - Excel、PowerPoint、業務フロー作成(Bizagi) 【自己PR】 業務改善と現場との調整に長けており、属人的な業務を構造化・仕組み化する力を持っています。多国籍メンバーとの英語での会議運営経験もあり、グローバルな環境にも柔軟に対応できます。今後はコンサルタントとして、課題設定から伴走支援まで一気通貫で提供するプロフェッショナルを目指します。
6. まとめ:現場経験を“価値”に変えるキャリアステップ
電子部品メーカーでの経験は、コンサルティングファームにとって非常に価値あるバックグラウンドです。特に、製造業の構造を理解し、課題に対して実行フェーズまで伴走した経験は、実務型のコンサルタントとして即戦力になります。
重要なのは、「自分の経験を、どう他社に提供できる形に変換できるか」。現場で得た知見と実行力を武器に、ぜひ次のステージであるコンサルティング業界へ踏み出してみてください。