近年、総合系コンサルティングファームで経験を積んだコンサルタントが、より裁量の大きな環境や、事業創出に近いポジションを求めて、ベンチャー系コンサルティングファームやスタートアップ支援ファームへと転職するケースが増加しています。
本記事では、総合コンサル出身者がベンチャーファームへ転職する際に押さえるべきポイント、求められるマインドやスキル、選考対策に加え、志望動機・職務経歴書の記載例までを丁寧に解説します。
1. 総合系コンサルファームとベンチャーファームの違いとは?
■ 総合系コンサルの特徴
- 安定した案件基盤と大企業向けの支援
- 役割分担が明確で、チーム体制も整備されている
- 戦略~実行支援まで、幅広いフェーズに関与
■ ベンチャーファームの特徴
- 支援先はスタートアップや中小企業が中心
- メンバー数が少なく、1人に求められる裁量が大きい
- クライアントと密接に並走する実行・伴走型支援が多い
- 業務の範囲が「コンサル」にとどまらず、事業側への関与もあり
このように、ベンチャーファームではより「現場感」や「手触りのある成果」を重視する傾向があります。
2. なぜ今、ベンチャーファームへの転職が注目されているのか
いま、コンサル出身人材がベンチャー業界に引き抜かれる背景には以下のような要因があります。
- スタートアップ市場の成長:資金調達やM&Aに強い関心を持つ企業が増加し、戦略・業務・組織を一体で設計できるコンサル出身者へのニーズが高まっている。
- 事業づくりへの関与意欲:自身の提言が「提案」で終わらず「実行される現場」に入りたいという思いを持つコンサルタントが増加。
- 意思決定の速さ・裁量の大きさ:少人数ファームではマネージャー未満でも経営陣と並走するケースも多い。
3. コンサル出身者がベンチャーファームで活かせる強み
- 論点整理や構造的な課題分解のスキル
- 経営層への報告・提案の経験
- 短期間で多くの業界・業務に触れた汎用的な思考力
- PJ推進力(タスク設計・スケジュール管理・ファシリテーション)
加えて、資料作成や仮説検証の精度も引き続き武器になります。ベンチャーではその力を「手を動かして価値を出す」フェーズで活かせるかどうかがカギとなります。
4. 転職前に準備すべきこと
① ベンチャーフェーズの企業理解
支援先となる企業が「シリーズA」なのか「上場準備」なのか、あるいは「事業再構築中」なのかで求められる支援内容は異なります。
② プロジェクトオーナーとしての視点
「言われたことを整える力」ではなく、「何をやるべきかを見極める力」が重視されます。事業会社側の視点で物事を捉える練習が重要です。
③ 転職理由の整理
単に「大きな組織が合わなかった」では説得力がありません。「なぜベンチャーか?」「なぜ貴社か?」を構造的に説明できるようにしましょう。
5. 志望動機(例文)
私はこれまで総合系コンサルティングファームにて、大企業向けの業務改革支援やシステム導入プロジェクトに携わってきました。多様な業界を経験する中で、より事業に近い立場でクライアントと伴走し、スピード感のある現場でインパクトを生み出したいという思いが強まり、ベンチャー支援に強みを持つ貴社を志望いたしました。 特に、経営者の意思決定に近い立場で、戦略だけでなく採用・組織・業務プロセスまで横断的に支援されている点に強く魅力を感じております。前職ではPMOとしてクライアントのCxOと直接やりとりをしながら全社施策の推進支援を行っており、その経験を貴社の支援領域に活かせると考えております。
6. 職務経歴書(記載例)
【職務要約】 総合コンサルティングファームにて、通信・製造・小売業界など幅広いクライアントに対し、業務改革・システム導入支援・新規事業戦略立案等のプロジェクトに従事。複数プロジェクトでPMOを経験し、課題抽出から実行フェーズまで一気通貫で支援。 【職務経歴】 ■在籍期間:2019年4月 ~ 現在 ■企業名:〇〇コンサルティング株式会社(従業員数3,000名) ■職種:コンサルタント → シニアコンサルタント 【主なプロジェクト】 ① 小売業向け業務DX支援プロジェクト(2022年〜2023年) - 概要:店舗業務のDX推進に向けた業務整理、システム選定支援 - 役割:現状分析、As-Is/To-Beプロセス設計、ベンダー選定支援、クライアント側PMO ② 通信業界向け新規事業戦略立案(2021年) - 役割:市場分析、ビジネスモデル検討、収支試算、CxO向け資料作成 - 成果:提案事業の社内承認を取得し、PoC開始に至る 【スキル・経験】 - 仮説構築/ロジカルシンキング/ファシリテーション - ドキュメンテーション(PPT/Excel)、PMO、業務要件整理 - チームリード(2~4名規模) 【資格】 - TOEIC 860点 - 日商簿記2級 - PMP(2024年取得予定) 【自己PR】 「構造化力」と「現場での推進力」を両立できる点が私の強みです。社内外の関係者との調整・合意形成にも自信があり、前職ではクライアントと共にKPIを設計し、実行まで伴走する経験を重ねてきました。今後はより事業創造や組織開発のフェーズで価値を発揮したいと考えています。
7. まとめ:視座を変えることで、次のキャリアが拓ける
大手コンサルティングファームで得た知見・スキルは、ベンチャーファームにおいても非常に重宝されます。ただし、評価軸は「思考」より「実行」、「指摘」より「伴走」。クライアントの立場に寄り添いながら、自分自身も事業側として考える視座が求められます。
変化を恐れず、成長フェーズに身を置きたいと考えるあなたにとって、ベンチャーファームは次の挑戦にふさわしいフィールドとなるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、納得感のあるキャリアチェンジを実現してください。