モノづくりに強みを持つ家電メーカーでの経験は、サービス企画開発へのキャリアチェンジにも大きな価値を持ちます。製品設計・開発だけでなく、顧客の声を起点とした価値創造の経験や、業務プロセス・販売チャネル・マーケティングとの連携など、サービス開発に通じるスキルは多岐にわたります。本記事では、家電メーカーからサービス企画・開発職への転職を実現するためのステップを詳しく解説し、最後に志望動機と職務経歴書の記載例を紹介します。
1. サービス企画開発職とは?
サービス企画開発とは、ユーザー体験(UX)を起点とした新たな価値創出を担う職種です。無形のサービスやデジタルプロダクトにおいて、以下のような業務が含まれます。
- ユーザーインサイトの収集とニーズ分析
- サービスコンセプトの立案
- UI/UX要件の設計、プロトタイピング
- 開発チーム・外部パートナーとの連携
- PoC、ローンチ、PDCA運用までの全体設計
2. 家電メーカー出身者の強みをどう活かすか
- ユーザー視点のものづくり経験:製品設計段階でのニーズ収集、コンセプト設計の経験は、サービス企画に直結します。
- プロジェクト推進力:開発・設計・製造・営業など多部門との調整経験がある人材は、企画〜実装フェーズをリードできます。
- 品質志向・課題解決力:不具合対応や市場導入時の改善対応は、サービスローンチ後のPDCA運用に活かせます。
製品という「モノ」から、UX・サブスクリプション・デジタルサービスといった「コト」へと価値の中心が移っている今、ハード起点の思考を持つ人材は求められています。
3. 転職活動に向けて必要な準備
- UI/UXの基礎理解:ユーザー体験設計の基本を理解(例:サービスデザイン思考、カスタマージャーニー)
- アジャイル/スクラムの理解:プロダクト開発の進め方を把握
- デジタルサービス事例の研究:他社の成功・失敗事例から学ぶ
- 自分の経験を“サービス文脈”で言語化:企画・推進・改善といったフェーズでの貢献を整理
4. 求人の探し方と選考対策
サービス企画職の求人は、BtoC・BtoB問わず、SaaS企業、通信、IT、メーカーのDX部門などに多数存在します。求人票の中で以下のようなキーワードに注目しましょう:
- 新規サービス/プロダクト企画
- UX設計/UI設計
- マーケティング連携/ユーザーリサーチ
- 開発ディレクション/PoC/PM
選考では「自分がどんな課題をどう捉え、どう動いたか」が伝わるように、STAR(Situation/Task/Action/Result)フレームでエピソードを整理しましょう。
5. 志望動機(例文)
私は家電メーカーにて、製品の設計開発から市場導入まで一貫して携わる中で、ユーザーとの接点が製品だけでなく体験全体に広がっていることを実感し、サービスそのものの企画に携わりたいと考えるようになりました。特に貴社は、プロダクトとサービスを一体で考える思想と、PoCからローンチまでのプロセスを重視されており、私のモノづくり視点が活かせると考えています。ユーザーの潜在課題を深掘りし、それを価値ある体験として提供できるサービス開発者を目指したく、志望いたしました。
6. 職務経歴書の記載例
【職務経歴概要】
株式会社〇〇電機(2016年4月〜2024年3月)
部門:製品企画部/商品開発部
職位:主任エンジニア → プロダクトプランナー
【業務内容】
・生活家電の製品企画(コンセプト設計、商品仕様策定)
・UX改善に向けたユーザーリサーチとペルソナ設計
・開発部門、製造、営業との連携による商品開発プロジェクト推進
・製品使用データの活用とサービス開発検討(IoT家電)
・新製品の市場導入とユーザーサポート設計
【主な実績】
・新モデルの製品コンセプト立案〜市場導入を一貫推進(年商20億円)
・UX向上プロジェクトを主導し、CS満足度10%向上を実現
・IoT機能を活用したユーザーサポートサービスの試験運用を立案・導入
・社内横断の新規サービス開発チームを立ち上げ、企画案3件を経営提案
【活用スキル】
・製品企画/プロジェクトマネジメント/ユーザー調査
・Excel、PowerPoint、Figma、Notion、Slack、Tableau
・UXリサーチ、カスタマージャーニー、デザイン思考
まとめ:ハードからサービスへ——モノづくりの経験は次の価値創出へつながる
製品を起点に顧客価値を考えてきた経験は、サービス企画職で大いに活かされます。視点を「製品そのもの」から「顧客の課題と体験」へと広げ、これまでのスキルを言語化することで、キャリアチェンジは実現可能です。モノからコトへ。新たな挑戦をぜひ自信を持ってスタートしてください。