コンサルから事業会社で何が変わる?元コンサルタントの転職体験記

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転職を決断した理由とその背景

コンサルでのキャリアとその限界

 コンサルタントとしてのキャリアは、非常にやりがいのあるものですが、その一方で限界を感じる場面もあります。コンサルティング業界では、短期間で多くのプロジェクトに携わることで、幅広い知識やスキルを習得できます。しかし、プロジェクトの計画や戦略立案に関わる機会は多いものの、実際の実行段階に深く関与することは少ないため、自分の提案がどのように成果に繋がるのかを直接目にする機会が少ない点にジレンマを感じました。

 また、昇進や給与面での競争が激しい一方で、長時間労働や高いストレスが日常的に存在するため、特に家庭とのバランスや自身の将来を考え直すタイミングが訪れることもあります。このような背景から、事業会社への転職を検討するコンサルタントが増加しているのも事実です。

事業会社への興味を持ったきっかけ

 事業会社へ興味を持つきっかけは、実際の事業運営に携わりたいとの思いからです。コンサル時代に多くのクライアント企業と関わる中で、戦略の立案だけでなく、その実行と結果を追う責任を持つことで、自分自身のスキルをさらに高めたいと感じました。また、クライアント企業内部の文化やチームワークを見ているうちに、一つの組織の一員として長期的に価値を創出することへの魅力を強く感じました。

 特に企業が自社内にコンサルタントのような役職を設ける動きが増えてきたことも後押しとなりました。このようなポジションなら、コンサルタント時代に培ったスキルを事業会社内で生かしつつ、計画から実行までの一貫した経験が積めると考えました。

転職を考える際の不安と期待

 事業会社への転職を考える際、最も大きな不安は「キャリアと年収のダウン」でした。特に、コンサル業界では20代から年収1000万円以上を稼ぐ例もありますが、事業会社では給与が下がる可能性が高いため、生活水準や将来設計に悪影響が出るのではと懸念しました。また、業界や職種の違いから、実際に自分がパフォーマンスを発揮できるのかという不安も抱えていました。

 一方で期待もありました。事業会社では長期視点で事業に関わり、実行フェーズに深く携われることで、新たなスキルを習得できる点が魅力的でした。また、コンサルタント時代はプロジェクトごとに異なる業界やクライアント企業で働く短期志向が強かったのに対し、事業会社では一貫性を持つキャリア形成が可能になると期待を抱きました。

家族や周囲のサポートの重要性

 転職を考える上で、家族や周囲のサポートは欠かせない要素です。特にコンサルから事業会社への転職では、長時間労働などから解放される期待もある一方、年収面や働く環境が大きく変わることへの不安が家族にも影響する可能性があります。そのため、家族としっかり話し合い、転職の目的や目指すキャリア像を共有することが重要です。

 また、元同僚や信頼できるエージェントと相談し、転職先の企業文化や仕事内容に関する情報を収集することも役立ちます。ポストコンサル転職を専門とする転職エージェントを活用することで、事業会社選びにおけるリスクを最小限に抑えることができました。周囲の理解とサポートを得ることで、自信を持って次のステップに進む準備が整ったと感じています。

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コンサルと事業会社の違い

仕事の裁量権と責任の幅

 コンサルと事業会社の最大の違いとして挙げられるのが、仕事における裁量権と責任の幅です。コンサルタントは主に提案や戦略立案に集中し、最終的な意思決定や実行はクライアント企業に委ねられることが一般的です。一方で事業会社では、自ら戦略を実行に移し、結果がどのように出るかまでの責任を直接負います。そのため、事業会社では裁量が広がると同時に、失敗のリスクやそのフォローアップも自身で担う必要があります。この違いは、仕事におけるやりがいや緊張感に直接影響を与える要素となっています。

成果を出すためのアプローチの違い

 コンサルでは通常、短期間で課題を見極め、最適な解決策を提示することが重要視されます。そのため、データ分析やロジカルシンキングを駆使してクライアントが納得するアウトプットを提供します。一方で事業会社では、長期視点での問題解決や成果を重視するため、継続的な努力や実行フェーズにおける柔軟性が求められます。特に、解決策がうまくいかない場合には、即座に改善策を講じる実践力が必要です。両者はゴールは似ていても、成果を出すまでのプロセスに大きな違いが見られます。

業務のスピード感と働き方

 コンサル業界はその性質上、短期間で成果を求められることが多く、結果として業務のスピード感が非常に速いのが特徴です。一度に複数のプロジェクトを担当する場合もあり、高い負荷がかかります。一方で、事業会社では業務のタイムラインが比較的長期的で、安定した働き方が可能となる場合があります。特に、ワークライフバランスを求めて転職を希望するコンサルタントにとって、このスピード感の違いは非常に重要な要素となります。

会社文化やコミュニケーションの差異

 コンサルファームでは、アウトプット重視の文化が根付いており、個人やチームの成果が非常に注目されます。そのため、形式的なコミュニケーションやレポーティングが重視される傾向があります。一方で、事業会社では部署間の連携や現場との密なコミュニケーションが求められる場面が多く、調整や折衝が仕事の大きな一部を占めます。また、事業会社の文化は組織や業界によって多様で、適応が必要となることがあります。この文化的な差異を理解し、柔軟に対応することは転職成功の鍵になります。

キャリア形成のプロセス

 コンサルタントのキャリア形成は、短期間でのスキル習得や昇進を目指す構造になっていることが多いですが、事業会社ではそれとは異なり、部署異動や職務範囲の広がりを通じて時間をかけてキャリアを築いていくケースが一般的です。特に、専門分野の深掘りや、組織の中でのリーダーシップを評価される点が特徴的です。このように、キャリア形成のプロセスにおいては焦点が異なるため、どちらが自身の目指す方向性に合っているのかを見極めることが重要となります。

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事業会社でのギャップと成長

最初に感じたカルチャーショック

 コンサルティング業界から事業会社に転職すると、まず文化の違いに驚かされます。コンサルタント時代は、短期間でクライアントの課題を解決することが求められ、多くの場合、業務がプロジェクト単位で進行します。しかし、事業会社では中長期的な視点が重視され、日々の業務がルーチン化している場面も多々あります。このスピード感の違いに加え、意思決定のプロセスも異なります。コンサルティングファームのようにスリムでスピーディな組織運営をイメージしていると、多階層の承認プロセスや調整業務が多い事業会社の現実に驚くかもしれません。

新しいスキル習得の必要性

 事業会社で働く上で感じるのが、現場のオペレーションに関連するスキルや、部門間の連携を円滑に進めるためのコミュニケーション力の重要性です。コンサルタントとして問題解決のためのフレームワークや分析スキルに長けていても、実務レベルでの調整や具体的なプロセス設計は、事業会社特有のノウハウが求められます。また、コンサル時代に執着していた「完璧な論理性」というよりも、実行可能で現場が受け入れやすいプランを立てる柔軟さが必要となります。こうした新しいスキルを学ぶ過程で、自身の成長を感じることができます。

失敗経験から学んだこと

 事業会社での最初の半年間は、多くの挑戦と失敗の連続でした。例えば、提案した施策が現場から反発を受けたり、コンサル的なアプローチを押し付けてしまいコミュニケーションに齟齬を生じさせたりといった場面がありました。そんな中、最も価値があったのは失敗を受け入れ、そこから学びを得る過程でした。特に現場の視点を理解することの重要性について痛感しました。失敗を経験することで、他者の立場に立って考える習慣が身に付き、以降の業務ではスムーズに進められることが増えました。

チームでの成果への貢献

 コンサルタント時代は、個人の成果が評価されることが多かった一方で、事業会社ではチームでの成果が何よりも重視されます。この変化に最初は戸惑いましたが、チームの一員として共に取り組む過程で、同僚との信頼関係が築かれ、次第にやりがいを感じるようになりました。特に、部門横断型のプロジェクトなどでは、一人では成し得ない成果を達成できた経験が大きな喜びとなりました。コンサルティングスキルを活かしつつ、周囲のメンバーと一体感を持って仕事に取り組むことで、個人とチームの両方の成長を実感しました。

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コンサル経験をどう活かせたか

論理的思考と問題解決の応用

 コンサルタントとして培った論理的思考力や問題解決のスキルは、事業会社においても非常に重宝されます。特に、複雑な課題を構造的に整理し、解決策を提案する能力は、社内の様々な場面で応用が可能です。たとえば、プロジェクトの進捗が停滞する際や、新しい戦略を導入する際にそのスキルは不可欠です。コンサルタントとしての経験によって築かれたこれらの能力は、単なる理論にとどまらず、事業会社での実務に直結する形で活かされるのです。

コンサルでのスキルの汎用性

 コンサルタントの仕事を通じて得られるスキルは、業界や職種を超えて活用できる汎用性が高いものです。論理的思考、データ分析、プレゼンテーション能力など、これらはどのような事業会社でも強みとなります。特に、事業を成長させるためのデータドリブンな意思決定が求められる場面では、コンサルタントとして培ったスキルが非常に役立ちます。たとえば、新製品のローンチ計画や競合分析において、そのスキルの価値が顕著に現れます。

関係者を巻き込む力とリーダーシップ

 コンサルタント時代に培った関係者を巻き込む力やリーダーシップも、事業会社で大きな武器となります。プロジェクトにおけるステークホルダーとの調整や各部門間の連携をスムーズに行う能力は、成果を最大化するために必要不可欠です。事業会社では、より多様な背景を持つ同僚やパートナーと協働することが求められるため、コンサルタントとして関係性を構築してきた経験が発揮される場面が多いです。この力を活かすことで、プロジェクトの成功確率を高めることができます。

戦略立案から実行への貢献

 コンサルタント出身者が事業会社で直面する大きな変化の一つは、戦略だけでなく実行にも深く関与する必要があることです。しかし、この変化がコンサルタントの経験を活かせる機会にもつながります。戦略を構想する能力をベースに、それを現場で実現させる力を見せることで、事業に直接的なインパクトを与えられます。例えば、プロセス改善プロジェクトを担当する際、短期間で課題を特定し解決策を提示、そして実行計画を確定させることで、短期的にも長期的にも会社に貢献できるのです。

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転職を考える人へのメッセージ

転職を成功させるための準備

 コンサルタントから事業会社へ転職を目指す際には、事前の準備が非常に重要です。まず、自分の強みを明確にすることが必要です。例えば、コンサルで培った論理的思考やプロジェクトマネジメントのスキルを具体的に振り返り、事業会社でどのように活かせるのかを整理しましょう。履歴書や職務経歴書には、成果を数字で具体的に示すことがポイントです。

 また、ターゲットとなる事業会社の業界や企業文化、求めるスキルに関する理解を深めることも大切です。事前に企業や業界についてのリサーチを行うことで、入社後のギャップを最小限に抑えることができます。さらに、転職エージェントや知人のネットワークを活用し、自分が目指すポジションの具体例やアドバイスを収集することもおすすめです。

実際に転職して感じたこと

 事業会社への転職を経て感じたことの一つに、スピード感や仕事の進め方の違いがあります。コンサルティング業界では、クライアントの問題を限られた期間で解決することが求められますが、事業会社では長期的な視点で物事に取り組むことが多くなります。また、コンサルタント時代に比べ、一つのプロジェクトでより深く関与し、長期的な成果に携われることにやりがいを感じました。

 一方で、これまで経験のなかった組織間の調整や、現場レベルでの課題解決に時間とエネルギーを費やす場面も多く、戸惑うこともありました。しかし、これらの違いを乗り越えることで新たなスキルを身につけ、キャリアの幅を広げられると実感しています。

失敗しないための注意点

 転職においては、いくつかの注意点を押さえることが重要です。特に、年収ダウンや業務内容の違いは転職後のギャップとして大きく感じられる可能性があります。事前に、給与や待遇がどう変化するのか、またその理由をよく理解した上で決断することをおすすめします。

 また、事業会社ではコンサルタント時代に評価されていた「外部の専門家」という立場ではなく、「社内の一員」として成果が問われることを理解しておく必要があります。この立場の変化を受け入れつつ、新しい職場で信頼を築く努力を怠らないことが成功の鍵となります。

自分のキャリアゴールを明確にする重要性

 転職を成功させるためには、自分自身のキャリアゴールを明確にすることが不可欠です。コンサル業界での経験を経て、なぜ事業会社への転職を選ぶのか、そして転職後にどのようなキャリアを築きたいのかを具体的に言語化する必要があります。

 例えば、「計画と実行を自分の手で行いたい」「長期的なビジョンで事業に貢献したい」といった目標を持つことで、モチベーションの維持や転職先の選択において軸を失わずに進められます。さらに、その目標が目指す企業の方向性と一致しているかを見極めることで、転職後のキャリア形成がスムーズになります。自分のゴールを明確にし、そこに向かうための一貫した計画を立てることが成功への近道です。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)