三大監査法人 vs 四大監査法人:どちらが勝ち組なのか?

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三大監査法人と四大監査法人とは?

三大監査法人とは?概要と背景

 三大監査法人とは、日本国内で圧倒的な規模と影響力を誇る主要な監査法人の総称です。具体的には、「有限責任あずさ監査法人」「新日本有限責任監査法人(現在はEY新日本監査法人として知られる)」「有限責任監査法人トーマツ」の3法人を指します。これらの法人は、日本国内において大企業から中堅企業まで幅広いクライアントを抱え、査定や監査業務を多岐にわたって行っています。各監査法人は、それぞれの特色や強みを活かしながら成長を続けており、国内外のビジネスシーンにおいて高い信頼性を誇っています。

四大監査法人とは?世界的な視点での説明

 四大監査法人とは、世界的に展開し、グローバルなネットワークを駆使して会計監査やコンサルティング業務を行う大手監査法人の総称です。具体的には、「PwC(プライスウォーターハウスクーパース)」「EY(アーンスト・アンド・ヤング)」「Deloitte(デロイト)」「KPMG(ケーピーエムジー)」の4法人がこれに該当します。いずれの法人も、多国籍企業や海外進出企業に対し、会計や税務のみならず経営戦略やIT分野のコンサルティングなど幅広いサービスを提供しています。四大監査法人は、各国の市場ニーズに対応しつつ、グローバルな基準を重視した業務遂行により世界的な信頼を得ています。

なぜ“三大”と“四大”が存在するのか?その違いと歴史

 「三大監査法人」と「四大監査法人」の存在には歴史的な背景と市場環境の違いが影響しています。三大監査法人は日本国内における認知度と市場シェアの高い法人を指し、国内市場での競争に重点を置いています。一方、四大監査法人は国際的なネットワークを強みとして、日本国内のみならず世界中でサービスを展開している法人群です。

 四大監査法人が国際的に台頭する背後には、1990年代後半から2000年代にかけての監査法人合併の歴史があります。この過程で、小規模の監査法人が統合され、より大きな規模と国際的な存在感を持つ法人として再編されたのです。一方で、日本では国内の需要に特化した形で三大監査法人が存在感を示し続けています。このように、三大と四大の違いは規模やネットワークの範囲、注力する市場領域に由来しています。

三大監査法人と四大監査法人の現在の日本でのシェア

 2023年度の時点で、三大監査法人は引き続き日本市場をリードしています。あずさ、新日本、トーマツの三社は、日本国内の上場企業や各種法人に対して監査業務を広く提供しており、そのシェアの高さが特長です。具体的には、日本における上場企業の6割以上が四大監査法人(うち三大監査法人を含む)の監査を受けていると言われています。

 一方で、PwCあらた監査法人も四大監査法人の一員として一定のシェアを保持していますが、規模の面では三大監査法人に若干後れを取っている傾向があります。このため、三大監査法人は日本市場でのシェアにおいてとりわけ優位性を維持している状況です。

監査法人を定義する要素とは?

 監査法人を定義する上で重視される要素はいくつかあります。まず第一に、規模が挙げられます。これは、所属する人員の多さやパートナー・公認会計士の比率などで測られます。たとえば、三大監査法人ではそれぞれ5,000名超の人員を有し、公認会計士数もおよそ2,500名以上となっています。

 第二に、クライアントの規模と数が重要です。特に上場企業を中心とする監査クライアントの数が法人の影響力を図る指標の一つとなります。さらに、提供するサービスの幅広さや専門性の高さも重要な要素です。監査法人は監査業務にとどまらず、税務やコンサルティング、さらにはデジタル化支援など、多様なサービスを提供することでクライアントのニーズに応えています。

 最後に、グローバルなネットワークや地域特化型の強みも監査法人を語る上で欠かせません。これらの要素を総合的に考慮することで、監査法人の価値を評価する基準が形成されています。

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規模・業績:どちらが強いのか?

売上高ランキングから見る優劣

 監査法人の規模を測る指標の一つに売上高があります。2023年度のデータによると、有限責任監査法人トーマツが1,428億4,500万円を記録し、三大監査法人の中でトップとなっています。同時に、有限責任あずさ監査法人は1,117億3,400万円の売上を上げています。これらの結果を見ると、トーマツが売上面で優位に立っていることが明らかです。一方で、「四大監査法人」として含まれるPwCあらた有限責任監査法人も売上面で台頭しており、三大と四大の間での競争が加速していると言えます。

クライアント数比較:支配力を考察

 クライアント数は監査法人の「市場支配力」を示す重要な指標です。2022年度のデータによると、三大監査法人では新日本有限責任監査法人が金商法・会社法監査で865クライアント、合計で3,735クライアントを有しており、他の法人よりも数でリードしています。次いで、トーマツが合計3,244クライアント、あずさ監査法人が3,482クライアントとなっています。このデータから、新日本がクライアント数で優位性を持っているものの、トーマツやあずさも負けじと競争している状況が伺えます。

人員規模とリソースの違い

 三大監査法人の中でも人員規模にわずかな差が見られます。例えば、新日本有限責任監査法人が総人員5,723名、トーマツが5,307名、あずさが5,744名となっており、いずれも5,000名以上の規模を誇ります。しかし、パートナーの比率が最も高いのはトーマツで12.4%と、組織内の意思決定や専門性に差異が出ている点が興味深いと言えるでしょう。また、あずさは公認会計士比率が49.5%と、より多くの専門家を有している点が特徴です。これらのデータから、各法人がそれぞれ異なる強みを持ちながら人員計画を展開していることが分かります。

業績データの最新動向(2023年度)

 2023年度の業績データでは、三大監査法人が依然として日本の監査業界をリードしていることが分かります。一例として、監査法人トーマツが売上高1,428億円を記録しており、顧客数や人員規模の面でも優勢を維持しています。一方、新日本監査法人やあずさ監査法人もそれぞれの分野で強い基盤を持ち、競争を続けています。このように、売上や業績の最新動向を見ると三大法人間での差は微小であり、各法人が競争優位を維持するために戦略を多様化していることが浮き彫りになります。

三・四大いずれが市場ニーズに応えているか

 三大および四大監査法人の市場ニーズへの対応力も注目すべきポイントです。三大監査法人は、長年の日本市場での経験と幅広いクライアント基盤を活用し、安定したサービス提供を行っています。一方で、PwCあらた有限責任監査法人を代表とする四大監査法人は、グローバルネットワークや国際基準への対応力を強みとしており、特に外資系クライアントやグローバル展開を図る企業からの支持を集めています。これを見ると、どちらも異なる特色で市場ニーズに応えていると言えるでしょう。

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得意分野と強みの比較

業務内容の違いと専門性:税務、監査、コンサルティング

 三大監査法人と四大監査法人は、主に税務、監査、コンサルティングといった業務に取り組んでいますが、それぞれ得意分野に違いが見られます。三大監査法人の場合、国内市場での監査業務に強みを持つ一方、四大監査法人はその国際的なネットワークを活用したクロスボーダー案件やグローバル企業向けのコンサルティングに優れています。特に新日本有限責任監査法人はメーカーや電力業界で、有限責任監査法人トーマツは不動産や金融業界で実績が豊富です。これら業務の専門性は顧客層や市場シェアに直結し、それぞれが異なるニーズを満たしています。

国際的ネットワークの活用度

 四大監査法人は、グローバルに展開する企業をターゲットとした国際的ネットワークの活用が顕著です。PwCあらた有限責任監査法人やEY新日本有限責任監査法人などは、海外拠点や連携を通じた多国籍企業の支援に定評があります。一方で、三大監査法人として分類されるあずさ監査法人やトーマツなども、国内クライアントをグローバル展開へとつなぐサポートを提供しており、国際業務への対応は進んでいるといえます。しかし、総合的なネットワーク力という点では四大監査法人がやや優位です。

革新性とデジタル化への取り組み

 監査法人業界全体でデジタル化が進む中、四大監査法人はAIやデータアナリティクスを用いた監査の革新に注力しています。トーマツや新日本といった三大監査法人も、独自のデジタルツールを開発し、効率性を高めていますが、デジタル化のスピードや規模では四大監査法人がリードしている傾向があります。例えば、四大監査法人の一部ではブロックチェーン技術の活用が進んでおり、これが新たな市場価値を創出する一因となっています。

中小企業と大企業へのサービス適応度

 中小企業へのサービス適応度に関しては、三大監査法人が優れたローカル対応力を持っていると評価されています。地域に密着したサービス展開が可能で、日本特有の商慣習や法規制に強いことがその理由の一つです。一方で、四大監査法人はグローバル企業や大手企業に向けた大規模なプロジェクトや高度なコンサルティング案件に定評があります。これによって、クライアントの規模や性質に応じた棲み分けが明確になっています。

地域別の強みに注目

 地域別の強みに関しては、三大監査法人が国内市場において高い競争力を持つのが特徴です。特に関東や関西といった大都市圏では、地元企業との結びつきが強く、ニーズに即したサービス提供を行っています。一方、四大監査法人は国内のみならず、アジアや欧米といった海外市場での実績が豊富です。この国際的な強さを生かし、日本企業の海外展開を支援する役割を果たしており、地域ごとにその強みを発揮しています。

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公認会計士の観点から見る魅力と課題

キャリア形成に与える影響:三大、四大の違い

 公認会計士にとって監査法人を選ぶ際、キャリア形成への影響は非常に重要な要素となります。三大監査法人の場合、日本国内を中心とした多様なクライアントへの対応が求められ、地域特化型の経験を積みやすい環境にあります。一方、四大監査法人はその国際的なネットワークを活用したグローバル規模の案件に携わる機会が多く、海外でのキャリアを志向する公認会計士にとって大きな魅力となっています。また、監査以外のコンサルティング業務や税務サポートに携わるチャンスも異なるため、どの分野でスキルを磨きたいかによって最適な選択肢が異なります。

年収・待遇の違いに焦点を当てる

 三大監査法人と四大監査法人の間では、年収や待遇に若干の違いが見られる場合があります。四大監査法人の方が規模が大きいことから、通常は平均年収が高めと言われています。ただし、年収や報酬構造は勤務先以外にも、個人の経験や役職によって大きく異なります。具体的には、パートナーになると三大・四大ともに高い収入が期待できますが、四大のグローバル案件への従事経験が昇進により大きな影響を与えることもあります。

社風と働きやすさ:内部からの視点

 三大監査法人と四大監査法人の双方で働きやすさには特色があります。三大監査法人では、日本企業らしい風土が色濃く、面倒見の良さや部下の育成に重点を置く傾向が見られます。一方、四大監査法人では、成果主義的な文化や、個人の裁量を重視した業務スタイルが浸透しています。このため、働きやすさについての捉え方は個人によりますが、どちらの環境が自身の価値観に合うかを見極めることが重要です。

多様性とダイバーシティの受け入れ状況

 ダイバーシティの観点では、四大監査法人が国際的な視点を持つため、女性や外国籍社員などの多様性を受け入れる仕組みが整っていることが特徴です。また、制度的に柔軟な働き方や育児支援などが比較的進んでいると言われています。一方で、三大監査法人でも国内においてダイバーシティ推進に積極的に取り組んでおり、近年はジェンダー平等を含む新しい価値観の浸透が進んでいます。このような取り組みは若手会計士や中堅社員が気持ちよく働ける環境を作る鍵となっています。

将来性:監査法人の進むべき方向性

 三大監査法人と四大監査法人はそれぞれ異なる強みを持ちながら日本の監査業界を牽引していますが、いずれも将来的な進化が求められています。デジタル化の進展により、AIやデータ分析技術を駆使した監査手法の導入が加速する中、公認会計士として最新の技術を取り入れられる環境が整った法人はより競争力を高めることが可能です。また、中小企業向けのサービス強化や、国際的な規模に対応する力を育むことが、次世代の監査法人のあり方として重要なポイントとなるでしょう。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)