監査法人のベースアップ最新事情|目指せ給料アップ!

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監査法人におけるベースアップの背景

物価高騰や人材確保の必要性

 近年の物価高騰の影響を受け、さまざまな業界で賃金の引き上げが求められています。監査法人においても例外ではなく、インフレの進行に伴う生活コストの増加が社員の士気や満足度に影響を与えているといわれています。また、公認会計士を含めた専門職人材の需要が高まる中、優秀な人材を確保するためにも競争力のある給与体系が必要です。これらの背景から、多くの監査法人でベースアップ(ベア)が実施されていますが、その一方で、全ての監査法人が賃金引き上げに積極的であるわけではないという指摘もあります。

監査法人と労働市場の競争関係

 監査法人が直面する課題のひとつに、他業種やコンサルティングファームとの人材獲得競争があります。特に、デジタルやサステナビリティ分野への移行が進む中で、ITスキルや新興分野の専門知識を持つ人材を確保するための競争が激化しています。そのため、競争力を高めるために給与水準の引き上げが必要とされています。ただし、一部では賞与との相殺が行われており、実質的な昇給額の恩恵を十分に感じられない社員も多いようです。この点が職場満足度や離職率に与える影響も議論されるべきポイントです。

ベースアップの実施タイミングと頻度

 監査法人におけるベースアップのタイミングや頻度は法人ごとに異なります。ただし、多くの法人では年度初めの4月や業績発表のタイミングに応じて賃金改訂が行われることが一般的です。一方で、物価高騰に直面した状況下では、例外的に追加の賃金調整や特別手当が支給されるケースもあります。こうした賃金改定の頻度が必ずしも高いわけではないため、社員の期待と制度の現実との間にギャップが生まれることも課題と言えるでしょう。

日本国内の監査法人の賃金推移

 日本国内の監査法人では、職位ごとに給与差が比較的大きいのが特徴です。例えば、スタッフレベルの平均年収が450~600万円であるのに対し、シニアスタッフでは550~800万円、またマネージャークラスになると800~1,200万円程度にまで上昇します。しかし、最近では大手監査法人(いわゆるBig4)においても賃上げのペースが鈍化したり、一部では管理職以上の昇給が行われていないとの声も聞かれます。さらに、2024年度以降については、企業全体の利益減少が見込まれることから、持続的なベースアップを実現するためには課題が山積していると言えそうです。

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具体的なベースアップの影響とケーススタディ

職位別の給料増加率

 監査法人におけるベースアップ(ベア)は職位ごとに異なる影響を与えています。スタッフレベルでは月収が数千円から1万円程度上昇するケースが多く見られます。これにより年収が2~5%程度増加するという事例が報告されています。一方で、シニアスタッフ以上の職位についてはベースアップが限定的、もしくは実施されない場合もあるとのツイートが見受けられます。

 例えば、スタッフの年収が450万円から600万円であるのに対し、シニアスタッフは550万円から800万円とベースの年間収入が高いため、増加率が抑えられる傾向にあるようです。特に、管理職やパートナーなどの高位職はベースアップが全く行われないこともあり、不満を抱える声も少なくありません。

実質賃金アップと賞与のスライド計算

 監査法人では賃金全体のバランスを考慮するため、ベースアップが賞与調整によって相殺されるケースもあります。そのため、ベースアップ自体は行われているものの、年間賃金の総額が実質的に変わらないという声も一部から上がっています。

 特に、2023年のあるツイートでは「ベアがあっても賞与が減ることで結果的に収入が変わらない」という意見が見受けられました。監査法人によるこのような戦略は、物価高騰に対応する一方で、業績や人材確保のコストも考慮した動きであると解釈されます。実質的な収入増加を実感するためには、賞与の計算方法についての透明性や説明がより求められる状況です。

4大監査法人における動向比較

 日本の4大監査法人(いわゆるBig4)では、それぞれのベースアップに関する対応が異なります。一部の監査法人では積極的なベースアップが行われ、スタッフから高評価を得ている企業もありますが、一方でベアが行われない法人もあるため、労働市場の競争が顕在化しています。

 例えば、ある監査法人では物価高騰を見越して早期にベースアップを実施したのに対し、別の法人では特定職位にのみ限定してベースアップを行い、その他の職位は賞与や福利厚生による対応を選択するなど、異なる戦略が取られています。このことは監査法人間での人材争奪戦にも影響を及ぼしており、転職市場の動向にも注目を集めています。

サステナビリティとデジタル分野の影響

 監査法人におけるベースアップの背景には、サステナビリティやデジタル分野の強化が影響を与えています。特にESGやデジタル監査など専門性の高い分野では人材確保の競争が激化しており、高いスキルを持つ人材を誘致するために給与や待遇面での改善が求められています。

 さらに、業界全体でのIT投資が増加しており、監査法人内部での業務効率化と同時に、人材育成費用も増加傾向にあります。これにより、優秀な人材には給与優遇などの形で対応する一方で、全職位に一律のベースアップを適用する余裕がない法人も少なくないようです。サステナビリティやデジタル分野での業務機会拡大が、特定スキルを持つスタッフの給与にどのような恩恵をもたらすのかも、今後注目すべきポイントといえるでしょう。

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ベースアップを受ける上でのキャリア戦略

昇進を狙うために必要なスキルと資格

 監査法人で昇進を目指すには、専門的なスキルと資格を持つことが重要です。具体的には、基本でありながら非常に重要な公認会計士資格を取得した後も学び続ける姿勢が求められます。デジタル分野での知識、例えばデータ分析やIT監査などのスキルは、近年ますます需要が高まっています。また、プロジェクト管理能力やリーダーシップも昇進に不可欠な要素となっています。監査法人でのキャリアを築くうえで、これらのスキルセットは昇給やベースアップの可能性を広げるカギとなります。

働き方改革とワークライフバランス

 監査法人では近年、働き方改革が積極的に進められており、ワークライフバランスの改善が注目されています。これには、フレックスタイム制度やリモートワークの導入などが含まれています。こうした環境の変化は、従業員がより効率的に業務をこなすと同時に、健康で充実した私生活を保つことを目指すものです。一方で、繁忙期には依然として長時間労働が発生する場合もあり、この点の改善が今後の課題です。働き方改革を活用しつつ自己管理を徹底することで、ベースアップの恩恵を受けやすい働き方が可能となるでしょう。

転職時の給与交渉術

 監査法人でのキャリアアップを目指す際、転職時の給与交渉は大きなポイントです。現在の給与水準を正確に把握し、市場のトレンドと比較することが交渉のスタート地点となります。また、自身の価値を伝えるために、具体的な実績や強みを明確にアピールすることが重要です。特に、近年注目されているデータ解析やサステナビリティ関連のスキルがある場合は、大幅な給与増加の交渉材料になります。ベースアップの実績がある監査法人かどうかについても確認し、賃金や働き方について納得のいく条件での契約を目指しましょう。

監査法人での働き方の今後の展望

 監査法人での働き方は近年大きく変化してきています。物価高騰への対応として多くの監査法人がベアを実施する一方、インフレ手当がないケースも一部で見られます。将来的には、働き方改革が更に進むとともに、IT技術の進展やサステナビリティの推進が業務の中核に据えられるようになるでしょう。また、業務の効率化と公認会計士の魅力的なキャリアパスの提案が重要視されると考えられます。これらの変化に適応し、自身のスキルセットを強化し続けることが、ベースアップを受けるための大きな鍵となります。

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ベースアップのトレンドと今後の見通し

2024年以降の賃上げ予測

 2024年以降も、監査法人におけるベースアップの動きは続くと予想されています。物価高騰や人材確保の競争が激化する中で、優秀な人材を確保するために報酬の引き上げは重要な施策です。しかし、一部の監査法人では賞与や他の手当が調整に利用されるケースも見受けられ、ベアが必ずしも実質的な所得増加につながらない場合もあります。これらの点を踏まえると、今後の賃上げの効果を見極めることが求められます。

IT投資と人材確保の重要性

 監査法人におけるIT投資の拡大は、業務効率化やサステナビリティ対応に向けた重要な取り組みですが、これに伴うコスト増が賃上げへの影響を及ぼしています。2024年には、IT関連費用が前年比17%増加しており、人材確保やスキル強化のための研修費用も増加傾向にあります。その一方で、監査品質の向上やクライアントの多様なニーズに対応すべく、デジタルスキルを持つ専門人材の需要も高まっています。このような背景から、IT投資の拡大と人件費のバランスをどのように図るかが重要な課題になっています。

世界市場や他国と比較した日本の給与水準

 日本の監査法人の給与水準は、欧米諸国と比較すると依然として低い傾向にあります。特に監査業務における労働時間の長さや、付加価値の高い業務の割合が低い点が課題として挙げられています。一方で、国内市場では公認会計士の需要が依然高いため、各監査法人は報酬体系の見直しに取り組まざるを得ない状況にあります。競争力ある給与水準を実現するには、国際的な監査基準との連携や、働き方改革を進めつつ労働生産性を高めることが重要です。

公認会計士業界の魅力と課題

 監査法人を中心とした公認会計士業界では、高収入やキャリア構築が可能な点が大きな魅力です。大手監査法人は豊富な研修機会を提供し、専門性を高めることができます。一方で、業界の課題としては、長時間労働や報酬水準に対する不満が挙げられるほか、サステナビリティやデジタル化への対応が遅れている箇所もあります。これらの課題を解決するためには、報酬制度の透明性や働き方改革のさらなる推進が不可欠です。今後の業界全体の発展に向け、これらの魅力と課題がどのように折り合いをつけていくかが注目されます。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)