初心者でもわかる監査法人の役割とBIG4の特徴を徹底解説!

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監査法人の基本知識

監査法人とは?その定義と設立の背景

 監査法人とは、公認会計士法に基づいて設立された法人で、企業の会計処理が法令や規則に基づいて適切に行われているかを監査し、証明する役割を担います。監査法人の設立には、5名以上の公認会計士が社員として在籍することが必要であり、そのうち公認会計士以外の社員は全社員の25%以下でなければなりません。このような要件により、高度な専門性が確保されています。

 監査法人が設立される背景には、企業活動の透明性と信頼性を保つ必要性があります。特に上場企業においては、多くの株主や投資家が関与しており、正確で透明性のある財務情報は不可欠です。そのため、外部の専門機関として監査法人が設立され、日本経済の信頼性を保つ重要な役割を果たしています。

監査法人の主な役割と業務内容

 監査法人の主な役割は、企業が作成した財務諸表が法令や会計基準に準じて正確に作られているかを評価し、監査報告書を作成することです。この役割を通じて、企業の財務情報が投資家や株主などのステークホルダーに対して信頼性のあるものとなるよう支援します。

 具体的な業務内容には、外部監査(法定監査)や内部監査の実施が含まれます。外部監査では、特定の要件を満たす企業を主な対象として、公正な視点で監査を行います。また、大手監査法人ではアドバイザリー業務も提供しており、企業の経営課題の解決を支援するケースも増えています。

公認会計士が担う重要な役割

 監査法人で働く公認会計士は、企業の財務情報の適正性を保証する役割を担っています。彼らは、高度な会計知識と倫理観を持ち、独立性を保ちながら監査を実施します。また、公認会計士は監査法人内で働くだけでなく、企業との相談役や経営課題のアドバイスを行うこともあります。

 特に監査報告書の作成において、公認会計士の判断は極めて重要です。不適切な会計処理を見逃さず、適正に指摘することで、企業活動の健全性を確保する役割を果たしています。

監査法人と会計事務所の違い

 監査法人と会計事務所はどちらも会計に関する業務を行いますが、その役割や業務内容には大きな違いがあります。監査法人は、企業の財務諸表が公正であるかを監査し、信頼性を保証する機関です。一方、会計事務所は主に中小企業や個人事業主を対象とし、税務申告書の作成や日々の帳簿作成の支援を行うことが主体です。

 また、監査法人は大規模な上場企業を中心に監査業務を提供するため、規模が大きく、法定監査が業務の中心となります。対照的に会計事務所は、顧客一人ひとりのニーズに応じた柔軟なサービスを提供するところに特徴があります。

監査法人の歴史と発展

 監査法人の歴史は、1966年の公認会計士法改正による監査法人制度の創設に始まります。1967年には日本初となる監査法人である「監査法人太田哲三事務所」が設立され、企業監査への取り組みが本格化しました。

 その後、日本経済の発展とともに監査法人の業務範囲も広がり、グローバル化が進む中で国際的にも重要な役割を持つようになりました。2008年には「新日本有限責任監査法人」が日本初の有限責任監査法人として登録され、監査法人の運営形態も多様化しています。このように発展を遂げた監査法人は、現在では経済全体の信頼性と安定性を支える不可欠な存在となっています。

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BIG4(四大監査法人)の特徴

EY新日本有限責任監査法人の特徴と強み

 EY新日本有限責任監査法人は、日本国内における最大規模の監査法人で、特にクライアント数の多さが特徴です。設立は2000年で、東京都千代田区に本拠地を置いています。幅広い業種に対応できる点が強みであり、財務監査だけでなく、コンサルティングやリスクマネジメントといったアドバイザリー業務にも注力しています。また、国際的な会計基準(IFRS)の導入支援に強みを持つほか、親会社であるEY(Ernst & Young)のグローバルネットワークを活用した国際業務も得意としています。これにより、グローバル展開を目指す企業にとって重要なパートナーとして支持され続けています。

有限責任監査法人トーマツの概要

 有限責任監査法人トーマツは、国内外の幅広いネットワークを有し、特に国際業務に強みを持つ監査法人です。約40の海外都市に拠点を持ち、グローバル展開を目指す企業に向けた支援を積極的に行っています。デロイト トウシュ トーマツ(Deloitte)のグローバルネットワークに属しており、大規模なプロジェクトをリードできる体制を整えています。また、日本国内では中堅企業やスタートアップ企業にも対応しやすい柔軟なサービスを提供しています。そのため、規模を問わず多くの企業から信頼を集めています。

PwCあらた有限責任監査法人の多様性

 PwCあらた有限責任監査法人は、他の四大監査法人と比較すると規模はやや小さいものの、個別のクライアントニーズに応じた柔軟なサービスを提供する点が特徴です。親会社のPwC(PricewaterhouseCoopers)は、世界的なコンサルティングファームとしても知られており、そのネットワークを介した高度な専門知識とグローバル展開のサポートに定評があります。また、監査業務だけでなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)やサステナビリティ関連の支援にも力を入れており、多様性と革新性がこの監査法人の最大の魅力です。

有限責任 あずさ監査法人の特徴

 有限責任 あずさ監査法人は、日本国内では3000社以上のクライアントを持ち、多くの業種に対応している点が特色です。オランダを拠点とするKPMGのグローバルネットワークに所属しており、日本企業に対する国際会計基準(IFRS)対応や海外子会社の監査において、特に優れた実績を持っています。また、内部統制の強化や税務アドバイザリー業務に強く、複雑な企業の課題解決をサポートできる体制が整っています。地方拠点も多く、全国の企業をカバーする点も特長です。

4社を比較した強みと得意分野の違い

 BIG4と呼ばれる四大監査法人には、それぞれ異なる強みと得意分野があります。EY新日本有限責任監査法人は国内の最大規模のクライアント数を誇り、幅広い業種に対応可能です。一方で、有限責任監査法人トーマツは国内外での国際業務において高い評価を得ています。PwCあらた有限責任監査法人は、柔軟性と革新性を武器に、特にDXやサステナビリティ支援で企業をリードしています。有限責任 あずさ監査法人は、そのグローバルネットワークと日本全国の広範なサービス提供能力が他社と一線を画しています。クライアントのニーズや事業規模、国際戦略によって、4社の中から最適な監査法人を選ぶことで、効果的なサポートが得られます。

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監査法人の仕事とキャリアの魅力

監査業務の具体例と流れ

 監査法人が行う業務の中核となるのが、外部監査です。外部監査は上場企業や一定基準を満たす非上場企業の会計書類が、公正で適切に作成されているかを確認し、その信頼性を保証するものです。具体的な流れとして、まず監査対象の企業から提供される財務データを精査し、リスクの評価を行います。その後、内部統制の有効性を確認した上で詳細な監査手続を実施し、最終的に監査報告書を作成します。これにより、投資家や株主に企業の透明性を提供する重要な役割を果たしています。

働く環境とスキルアップの機会

 監査法人では、チーム単位での業務が一般的です。そのため、コミュニケーションスキルやプロジェクト管理能力が自然と磨かれる環境です。また、監査業務を通じて財務会計や経営への深い知見を習得することができます。加えて、4大監査法人など規模の大きい法人では、内部研修だけでなく、国外で実施されるプログラムにも参加できる機会があり、高度なスキルアップが可能です。このような多様な学びの環境は、会計分野だけでなく、ビジネス全般で活躍する力をつける場となります。

監査法人での働き方と年収の目安

 監査法人での働き方は、繁忙期とそれ以外の時期で大きく異なります。繁忙期には多くのクライアントの監査を並行して対応するため、長時間労働となる場合がありますが、それを支えるチーム体制や柔軟な働き方の導入も進んでいます。年収については、経験年数や所属する監査法人の規模によりますが、一般的に高水準の収入を得られる職種です。例えば、4大監査法人では新卒の場合で年収500万円前後、経験を積むと700〜1000万円以上を目指すことも可能です。

中小監査法人との違いと魅力

 監査法人は規模によって大手と中小に分けられ、それぞれに特徴があります。4大監査法人のような大手では、大規模な上場企業をクライアントとする案件に携わる機会が多く、国際的なプロジェクトにも関わることができます。一方で、中小監査法人はクライアントとの距離が近く、幅広い業務に柔軟に対応することが求められるため、スキルの幅を広げやすい環境です。どちらも独自の魅力があり、自身のキャリアや働き方の希望に応じて選ぶことが重要です。

監査法人への転職や就職のコツ

 監査法人への転職や就職を成功させるためには、まず公認会計士資格の取得が不可欠です。また、監査法人が重視するのは、資格だけでなく、コミュニケーション能力やチームで成果を上げる力です。そのため、履歴書や面接では、自分が培ってきたスキルや経験を具体的にアピールすることが重要です。さらに、特に4大監査法人を目指す場合には、英語力を高めておくことや、国際的な監査基準の知識を持つことが有利となるでしょう。

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監査法人の未来と企業への貢献

今後の法制度や市場環境の変化

 監査法人は、今後の法制度や市場環境の変化に適切に対応することが求められています。特に、企業ガバナンスの強化を目的とした法改正や経済のデジタル化に伴う新たな規制が進む中、監査法人の役割はさらに重要となっています。例えば、国際財務報告基準(IFRS)の普及やESG(環境・社会・ガバナンス)関連の報告が求められるようになるなど、監査業務の範囲は従来の財務データの確認に留まらず、多岐にわたる内容への対応が必要とされています。これにより、企業と利害関係者との信頼性を確保することが求められる一方で、監査法人の業務内容もさらに複雑化していくと考えられます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、監査法人もその業務において新しい技術を活用する必要性が高まっています。AIやデータ解析ツールを活用することで、従来のサンプリング中心の監査から、より広範囲かつ精度の高い全件監査へ移行する技術革新が進んでいます。また、ブロックチェーンのような技術が会計情報の管理に用いられる場合、監査法人はこれらの技術が適切に機能しているかを検証する役割を担います。こうした変化に対応するためには、公認会計士や監査法人のスタッフがITリテラシーを向上させることが重要です。DXは監査法人にとって新たなチャンスであると同時に、高度な専門知識が必要とされる挑戦でもあります。

企業のガバナンス向上と監査法人の役割

 企業のガバナンス向上は、監査法人が果たすべき主要な役割の一つです。監査法人は、企業の経営の透明性を確保し、社外のステークホルダーからの信頼を得るための土台作りを支援しています。特に、内部統制の評価やリスク管理体制の検証を通じて、経営判断の正当性を支える役割を担っています。また、監査法人は企業が遵守すべき法令や規則の適用状況を確認することで、不正防止やコンプライアンスの確立にも寄与しています。これにより、企業が長期的かつ健全な成長を遂げるとともに、日本全体の経済の信頼性が向上することが期待されています。

社会貢献活動と監査法人の存在意義

 監査法人は企業の財務報告に対して客観的な視点から保証を行うだけでなく、社会貢献活動にも積極的に関与しています。一部の監査法人では、非営利団体やスタートアップ企業の支援を行うプロボノ活動や、地域社会の発展を目指した教育啓発活動にも取り組んでいます。これにより、監査法人は経済的な側面だけでなく、社会的な課題の解決にも寄与しているのです。このような活動を通じて、監査法人は公的な存在意義を再確認し、幅広い信頼を築くことができます。

監査法人が今後直面する課題

 監査法人は多くの社会変化や技術革新に対応する中で、いくつかの課題にも直面しています。例えば、高度化する業務に対応するための人材育成や、人手不足の解消が挙げられます。特に、DXや複雑化する監査基準に対応可能な専門知識を有する公認会計士の確保は課題となっています。また、監査業務への信頼性が疑われる不祥事の発生を防ぐために、監査の透明性や品質をさらに向上させる必要があります。加えて、国際基準の多様化により、監査法人間での対応能力に違いが生じる可能性も課題となるでしょう。これらの課題を克服し、柔軟に対応することが監査法人の信頼度向上に繋がるのです。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)