監査法人ってなに?BIG4や年収情報も徹底解説!

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監査法人とは?その基本知識を解説

監査法人の定義と役割

 監査法人とは、公認会計士法に基づいて設立される法人で、公認会計士を中心とした専門家が所属する団体です。主な役割は、企業や組織の決算書が適正に作成されているかを確認し、法令や規則に準拠しているかを検証することです。このプロセスを通じて、企業情報の透明性を高め、投資家やステークホルダー、社会全体の信頼を得ることを目的としています。

監査法人と公認会計士の関係

 監査法人は、公認会計士と密接な関係があります。監査業務を実施するには公認会計士の資格が必要であり、多くの公認会計士が監査法人に所属して働いています。公認会計士は、試験の合格と3年間の実務経験を経た後に資格を取得します。そして、監査法人においてその資格を活かし、財務諸表の監査や内部統制監査などの業務を担っています。このように、監査法人は公認会計士の専門知識と技術に支えられているのです。

監査法人の設立要件

 監査法人を設立するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、社員として登録できるのは公認会計士のみであり、設立には最低でも5名以上の公認会計士が必要です。これらの社員は業務執行の権利と義務を負い、株式会社での取締役に相当します。また、監査法人が行う業務の特性上、法的に求められる制度やルールを順守することが必須です。このような要件をクリアすることで、監査法人は活動を始めることができます。

監査法人が手がける主な業務内容

 監査法人が一番重要視する業務は、企業の財務諸表をチェックする会計監査です。これは、「外部監査」と呼ばれ、主に上場企業や大規模企業が対象となります。外部監査を通じて、企業の決算書が適切に作成されているかを調査し、その信頼性を証明します。また、その他の業務には、税務監査や内部統制監査、さらには情報システムや環境に関する監査も含まれます。これらの活動は、投資家やステークホルダー保護の観点から、非常に重要です。また最近では、監査法人の「何をするのか」が注目される中、非監査業務としてコンサルティング業務も手がけるケースが増えています。

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BIG4とは?世界的に有名な4大監査法人

BIG4の企業一覧と特徴

 BIG4とは、世界的に影響力のある4つの大手監査法人を指します。この4法人はそれぞれ、有限責任あずさ監査法人(KPMG)、EY新日本有限責任監査法人(アーンスト・アンド・ヤング)、有限責任監査法人トーマツ(デロイトトウシュトーマツ)、PwC Japan有限責任監査法人(プライスウォーターハウスクーパース)です。これら4社は、各国に広がる拠点を持ち、監査業務をはじめ税務・アドバイザリーサービスを展開しています。特に日本の上場企業に対する監査業務では、BIG4が約8割のシェアを占めており、業界をけん引する存在となっています。

BIG4が国内外に与える影響

 BIG4は、監査法人が「何をするか」という点でその規模とサービス範囲の広さから、国内外の経済・ビジネス社会に大きな影響を与えています。監査業務を通じて、企業の財務情報の信頼性を確保し、投資家や金融機関からの信頼を得る基盤を提供しています。また、税務戦略やM&Aアドバイザリーといった非監査領域でも豊富な専門知識を持つため、多岐にわたる企業課題の解決に貢献しています。さらに、グローバル展開を視野に入れた日本企業にも支援を行っており、日本経済の競争力向上に寄与しています。

一般的な監査法人とBIG4の違い

 一般的な監査法人とBIG4との違いは、規模、業務範囲、影響力の大きさにあります。一般的な監査法人は地域密着型で、中小企業を対象とするケースが多いのに対し、BIG4はグローバルなネットワークを活かし、上場企業や多国籍企業といった規模の大きいクライアントを主な顧客としています。また、監査業務だけでなく、税務、コンサルティング、リスク管理などの非監査分野でも包括的なサービスを提供しているのも特徴です。その結果、どの監査法人と契約するかによって、企業が受けるサポートや信頼性が大きく異なるケースもあるため、BIG4は特に高い評価を得ています。

各BIG4の主な業務分野

 BIG4はそれぞれに得意分野があり、幅広い業務を展開しています。例えば、KPMGはリスクマネジメントや税務コンサルティングに強みを持ち、EYはM&Aやトランザクションアドバイザリーにおける実績が豊富です。デロイトトウシュトーマツは監査業務に加え、戦略コンサルティングやデジタルイノベーションの分野でも積極的に展開しています。PwCは会計や税務のみならず、環境や社会的責任に関するコンサルティング業務にも力を入れています。このように、BIG4は単なる監査法人としてだけでなく、幅広い専門知識と洞察を持つプロフェッショナル集団として、多方面から企業を支えています。

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監査法人の給与・待遇、働き方

監査法人の年収相場とキャリアパス

 監査法人で働く公認会計士の年収相場は、一般的に500万円から1,000万円以上と言われています。入社して間もないジュニアレベルのスタッフの場合、年収は400万円から600万円程度が一般的ですが、経験を積むことで着実に年収が上昇していきます。上級スタッフやマネージャーとなると年収800万円以上、さらにパートナーと呼ばれる役職に昇進すれば、1,500万円を超えるケースも少なくありません。

 監査法人でのキャリアパスは非常に明確で、まずスタッフとして業務を学び、マネージャー、シニアマネージャー、そしてパートナーへの昇格が一般的となります。また、一定の経験を積んだ後には、外部の企業に転職し、経理部長やCFOとして活躍する道も開かれています。そのため、監査法人での経験は、公認会計士を目指す人にとって非常に有益なものとなっています。

待遇が良いと言われる理由は?

 監査法人が待遇が良いと言われる理由は、専門性の高い業務内容と責任の重さにあります。監査業務は、企業の決算書を精査し、その適正性を保証する重要な役割を果たすため、高度なスキルと知識が求められます。また、監査法人で働く公認会計士は、数年間にわたる厳しい試験と実務経験を通じて資格を取得しており、その資格保有者が希少価値が高いことも待遇の良さにつながっています。

 さらに、監査法人では従業員への健康保険や企業年金、資格維持費の補助といった福利厚生も充実しており、働きやすい環境が整えられていることが大きな魅力です。このような点から、「監査法人の待遇が良い」というイメージが広まっています。

監査法人での働き方(リモートワーク、時短勤務など)

 近年、監査法人でもリモートワークや時短勤務といった働き方が広がっています。特にCOVID-19をきっかけに、多くの監査法人がリモートワーク環境の導入を進め、企業の会計監査がオンラインツールを活用して行われる機会が増えました。このため、場所を選ばず柔軟に働けることが可能になり、ワークライフバランスの向上が期待できます。

 また、育児や介護といった事情を持つ社員のために、時短勤務や週3~4日勤務といった選択肢を提供している監査法人も多くなっています。こうした制度は、特に女性や家庭を持つ社員にとって大きな支えとなっており、多様な働き方を受け入れる企業文化が広がっています。

海外で活躍できるチャンス

 監査法人で働く公認会計士には、海外で活躍できるチャンスがある点も大きな魅力の一つです。多くの監査法人は、グローバルネットワークを通じて世界中の監査業務をサポートしており、海外拠点での業務経験や国際プロジェクトへの参加が可能です。特にビッグ4と呼ばれる大手監査法人では、グローバルな環境で働く機会が豊富に用意されています。

 また、国際財務報告基準(IFRS)や多国籍企業の会計監査に関わる業務経験は、キャリア形成において非常に有利です。こうした経験を積むことで、監査法人内での昇進だけでなく、海外企業やコンサルティング会社へのステップアップも実現可能です。グローバルな視点とスキルを磨きたい人にとって、監査法人は理想的な環境と言えるでしょう。

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監査法人の課題と今後の展望

監査業務の課題と進化

 監査法人が手がける会計監査は、企業の財務報告の適正性を確保し、信頼性を提供する重要な役割を果たしています。しかし、近年では業務の複雑化や国際的な規制基準の高度化により、監査法人が直面する課題も増加しています。例えば、会計基準の変更や情報技術の進展により、監査対象となる企業の活動が多様化しており、それに対応した専門知識や技術の向上が求められています。また、監査品質に関する外部からの厳しい目も高まり、透明性や信頼性の向上が求められる場面が増えています。これらの課題に対応するため、監査法人は業務プロセスの効率化や人材育成、さらに新しい監査手法の採用に取り組んでいます。

AI・デジタル技術がもたらす変革

 AIやデジタル技術の進化は、監査業務に大きな変革をもたらしています。データ分析を活用した高度な監査手法は、従来のサンプル調査を超え、膨大なデータ全体を対象とした監査を可能にしています。これにより、誤りや不正を早期に発見し、迅速に対応することが可能となりました。また、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用することで、反復的な作業を自動化し、監査人がより専門性の高い業務に集中できるようになりました。一方で、新たな技術の導入においてはセキュリティやデータ保護の観点から慎重な運用が求められます。監査法人はこれらの技術を積極的に活用し、効率性と精度の向上を目指しています。

中小監査法人とビッグ4の競争

 日本には200以上の監査法人が存在していますが、監査業界は「ビッグ4」と呼ばれる4大監査法人が圧倒的なシェアを占めています。このため、中小監査法人は差別化を図る必要があります。ビッグ4が規模やリソースに優れる一方で、中小監査法人には地域密着型の高いサービスや特定分野での専門性を活かす強みがあります。しかし、競争の激化に伴い、中小監査法人は人材確保の難しさやリソースの限界に直面しやすいのが現状です。一方で、業界全体では、柔軟性や顧客の多様なニーズに対応できる中小監査法人に期待が集まっており、今後の成長には新たな技術や戦略の導入がカギとなるでしょう。

監査法人が果たすべき未来の役割

 監査法人は、企業や経済全体の信頼性を支える存在として、今後ますますその重要性を高めていくでしょう。内部統制の強化やリスク管理、サステナビリティなど、企業の課題に対応するための多様な監査が求められています。例えば、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関連する監査のニーズが増加しており、監査法人の役割が拡大しています。また、国際的な基準に基づく監査を提供することで、日本企業の国際競争力を高めることも期待されています。監査法人は、技術革新や課題への柔軟な対応を通じて、新たな価値を提供し続けることが求められています。

この記事を書いた人

コトラ(広報チーム)