最新技術を取り入れることによって、教育現場にイノベーションを巻き起こすことが期待されている「EdTech」について解説します!
EdTechとは
EdTechは、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、テクノロジーを用いて教育領域にイノベーションを起こす仕組みやサービスを指します。
昨今のテクノロジーの急成長に伴い、長らく変化のあまりない「聖域」であった教育分野にもテクノロジーを取り入れて変革を起こそうという動きが高まっています。
すでに一般的となっているアプリ・ソフト・ディバイスを活用したり、さらに先端技術のAIやVRなども導入することで、これまで当たり前とされてきた仕組み・制度・考え方までも含む、教育に関わる全ての領域での大きなイノベーションが期待されています。
Edtechの具体的な内容とメリット
オンラインでのインタラクティブな学習によるSTEAM教育
EdTechの学習の要が、世界的に注目されている「STEAM教育」です。
「STEAM」とは、現代社会に対応する人材に必須の資質である「Science(科学)/Technology(技術)/Engineering(工学)/Art(芸術)/Mathematics(数学)」の頭文字です。
EdTechでは、オンラインでのインタラクティブな学習を軸に、文系理系の垣根を越えて統合的、横断的な学習を可能にします。
アダプティブ・ラーニング
EdTechで重視されているのが、個別最適化された学習を指す「アダプティブ・ラーニング」です。
これは、個人の能力や特性に合わせて、一人ひとりに最適化されたレベル・内容・進み具合で学習を進める新しい学習スタイルです。
ICT・ソーシャルメディア・AIなどのテクノロジーを活用し、過去の回答や学習履歴のデータを蓄積・分析することで、弱点や問題点を明確にします。その結果をもとに、個別に対策を立てることで弱点を克服し、効率的に学習を進めることができます。
VR・ARを使った疑似体験学習
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのEdTechを用いることで、これまでの教科書などを用いた教育の限界を突破することができます。VRで、人工的に作り出された環境に入り込むことで、現実では難しい建築現場や災害現場などでの作業を擬似的に体験したり、簡単に宇宙空間や世界遺産に行くことも可能です。
また、ARを用いて、スマホやタブレットなどで動く教科書や絵本などを手軽に作り出し、子供たちの学習ツールとして役立てることもできます。
これらの疑似体験により、教育格差解消や、学習意欲促進などが期待できます。
システムを用いた学習管理
EdTechでは学習者側だけでなく、指導者側も「LMS(ラーニング・マネジメント・システム:学習管理システム)」を使ってサポートを行います。
このシステムを使うことで、教材やカリキュラムの作成・指導計画の策定・授業以外の業務などをシステム化でき、指導者の余分な負担が軽減され、結果として質の高い指導に繋げることができます。
明確化されたデータを活用することで、指導者は個々の学習者への理解が深まり、より的確なフィードバックと指導が実現するのです。
「教育ビッグデータ」の活用
EdTechによって得られた膨大な教育データを分析することで、指導者の教育スキルや、学校運営状況などを正確に評価することができます。教育機関・学校間・学習者・保護者ともデータを共有し、課題と改善策を見つけることで、よりよい学習、ひいては教育業界の発展に寄与します。
EdTechの市場
世界では以前からEdTechが導入され、進化・発展を続けており、日本でもこれに追いつこうと、国を挙げてEdTechの導入を推進しています。EdTechは、効率的な学習・優秀な人材育成・個性や特色を伸ばす教育を可能にするためには、もはや必要不可欠です。
野村総合研究所(NRI)によると、2016年度におけるEdTech市場規模は推計約1,700億円、2023年には約3,000億円に達すると予測されています。
さらに学校現場のみならず、企業研修や職業訓練など、EdTechが必要とされ有意義に活用される場所や機会は幅広くあります。
日本が様々な教育現場において、世界に遅れを取らないためにも、EdTech導入に関わる人材の確保は急務となっており、この状況は今後も継続していくものと思われます。